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2022.04.18

アレルギー対応のドッグフードに変えるべき?脱毛・かゆみなど皮膚が気になる犬のごはん選び

アレルギー対応のドッグフードに変えるべき?脱毛・かゆみなど皮膚が気になる犬のごはん選び

ポチのコンサルティングサービスで、たびたび寄せられる質問に「皮膚が弱いのですが、フードをアレルギー対応のものにしたほうが良いでしょうか?」というものがあります。
犬の皮膚トラブルには、脱毛や赤み、かゆみのほか、湿疹ができてしまったというケースもあり、症状はさまざまです。でも、よくよくお話を聞いているとアレルギー対応食など、食事の見直し以外のケアがよさそうなケースがあります。

犬の皮膚トラブルがみられるとき、飼い主がチェックするべきポイントと食事選びについてご紹介いたします。

かゆみの原因が食物アレルギーかどうかのチェックを!

まず、犬の皮膚トラブルが見られたら、その原因をきちんと把握することが大切です。
犬の食物アレルギーについて多くの方が関心を持ち、皮膚トラブル=食物アレルギーと考えてしまう方が少なくないように感じます。でも、犬の皮膚トラブルを引き起こす原因は食物アレルギー以外にもたくさんあります。

例えば、犬が違和感から気にして舐めてしまうことで雑菌が増えてかゆみやニオイを発生させる指間炎、皮膚のバリア機能の働きが落ちてちょっとした刺激に敏感に反応してしまう敏感肌、乾燥が原因で皮膚に赤みやかゆみが出ていることもあります。
皮膚に雑菌やカビが繁殖してしまっている場合などは、食事ではなくきちんと投薬や薬用シャンプーをすることで改善できることもありますし、また、クッシング症候群など内分泌系の病気の影響で脱毛がみられるケースもあります。

皮膚や被毛のトラブル=食物アレルギーと誤解させるような記事や情報がインターネットでは多く見られるので、ドッグフードを変更すれば改善されると期待してしまうのはもっともですが、犬の皮膚トラブルは、食物アレルギーだけが原因とは限りません。脱毛やかゆみが思いもしない病気のサインだった、というケースもありますから、犬の皮膚や被毛の様子がおかしいと感じたら、専門家である獣医師さんに相談して、きちんと診断を仰ぐことが解決への近道です。

食物アレルギーの検査を受けてみるのもひとつの手。アレルギー項目が分かれば、食事選びをしていくうえで避けるべき食材がわかるので、とても役立ちます。

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アレルギー対応の療法食ドッグフードとは?

実際に食物アレルギーであることが分かった場合は、アレルギー反応を引き起こす食物を含まない食事を与えることが重要です。

アレルギー反応は、食べ物に含まれるタンパク質を異物として免疫細胞が認識してしまうことで起こります。その食品のタンパク質さえ摂取しなければ、犬の体はアレルギー反応を起こすことはありません。
ただ、少し厄介なことに、交差反応といってよく似たタンパク質を持っている食品同士では、同じようにアレルギー反応が出ることがあります。(チキン→ターキー、ブタクサ→メロン、スイカなど)ですから、予想以上に食べられるものが制限されてしまうこともあります。
ただ、アレルギー検査で陽性であったとしても、実際に体調に影響するような反応が出るかどうかはまた別問題で、症状が出なかったりするケース(擬陽性)もありますので、少しずつ与えてみて反応を見ることも重要です。

療法食などで見られるアレルギー対応のドッグフードは、タンパク質をより小さな分子「ペプチド」レベルまで分解しているものが多いようです。ペプチドになってしまえば、タンパク質ではなくなるので理論上はアレルギー反応が起こらないということになります。
アレルギー対応のドッグフードを選ばなくても、アレルギーを引き起こすタンパク質さえ含まれていなければ、体調には影響がありませんので、一般的なドッグフードを与えることもできます。
タンパク源の種類を限りなく減らしたLID(タンパク質制限食)動物性タンパク源を1種類に限定し使用原材料の種類を極力少なくしたシンプルドライフードなどの中から選ぶのもオススメですよ。
どんなタンパク質に犬の体が反応してしまうのか、何なら食べることができるのかをある程度推測するためにも、アレルギー検査は役立ちます。

アレルギーではない場合は、皮膚に役立つ栄養を取り入れよう。

動物病院で相談して、実は皮膚トラブルがアレルギーが原因ではなく、ほかにも病気のサインがないことが分かったら、犬の皮膚や被毛の健康維持に役立つ成分を取り入れてみるのがオススメです。(病気のサインが見つかったら、まずはそちらの治療を優先させてください)

 

■犬の皮膚・被毛の基本的な栄養

犬の毛艶に欠かせない栄養素は、タンパク質と脂質です。タンパク質は、犬の筋肉や皮膚、血液や臓器などを作る上で大切な栄養素で、犬の毛並みを美しくする役割もあります。タンパク質不足が続くと、脱毛することもあるため注意が必要です。健康な毛を作り毛艶を維持するため、良質なタンパク質を取り入れた食事を与えましょう。
毛量を増やしたい、と思った時に毛をより多く作るために必要な栄養はタンパク質です。

脂質は、タンパク質に次いで、犬の毛艶を保つために欠かせない栄養素です。

具体的には、オメガ3(エゴマ油や亜麻仁油、イワシ・サンマなどの魚油など)とオメガ6(ゴマ油、ひまわり油、アーモンド油、コーン油など)の不飽和脂肪酸を含む油脂がおすすめです。犬の場合は、オメガ3:オメガ6の比率は、1:2が良いと言われています。しかし、脂質はカロリーが高いため、取りすぎないように注意が必要です。

 

■犬の皮膚・被毛のトラブルの時、意外と不足しがちな栄養とは?

基本的な栄養以外でも、皮膚や被毛のトラブルがみられる時に不足していることが多い栄養があります。それはミネラルとビタミン。
とくに人間と比較して、犬が体重あたり約5倍以上必要とする「亜鉛」は不足しやすく、また亜鉛を含む食材を十分に取り入れることが難しいことから、手作り食を与えている犬で不足が起こりやすい栄養素のひとつといわれています。
そのほかにもビタミン類はアミノ酸を再合成して皮膚や被毛の細胞を作る際の補酵素として働きますので、不足すると皮膚の健康的な新陳代謝が阻害されやすくなります。
これらの栄養を補うために、手作り食ではサプリメントをうまく取り入れて栄養バランスを整える飼い主さんも多くいます。


ポチでお世話になっている獣医師さんの話によると、手作り食を食べさせている犬では脂質とミネラル類、ビタミン類の不足が多くみられ、これらの栄養バランスを整えた総合栄養食を与えたことで状態が良くなったというケースもあったそうです。
総合栄養食の基準と同じだけの栄養バランスを手作り食で実現することはとても難しいので、犬の皮膚のトラブルがみられる時にはドッグフードと併用することも検討してみてください。

おわりに

犬の皮膚トラブルと食事の関係、そして犬の食物アレルギーについてご紹介しました。犬の皮膚トラブルの原因は、食物アレルギーだけではなくさまざまなものが考えられます。それぞれのトラブルに適した対策を行うことが問題解決への近道になりますので、まずは動物病院で相談することから始めてみてください。
まずは食物アレルギーの検査を受けてみる、アレルギー項目が特にないようであれば、食事に役立つ栄養をプラスしてみる、手作り食をお休みしてみるというのも良いと思います。

DOG's TALK

POCHIのペット栄養管理士 岡安

ペット栄養管理士です。犬ぞりやフリスビーなど、犬とできるアクティビティが好き。大型犬を見るとテンションが上がります。

ペット栄養管理士について

*1 2002年5月より実施されている、「ペット栄養管理士」の認定試験に合格した、犬や猫の栄養学の専門家です。栄養・健康増進及びペットフードの品質向上等に関する会員相互の知識、技術の向上を目的に1998年6月に設立された一般社団法人日本ペット栄養学会によって認定されている資格です。 日本ペット栄養学会