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2023.02.06

ドイツの街角から ~ドイツで犬と暮らすためのルールが変わりました~

ドイツの街角から ~ドイツで犬と暮らすためのルールが変わりました~

*1 pochinski スペインのマジョルカ島で保護され、家族になった犬と現在ドイツで暮らす旅行&ファッションライター。趣味は犬の絵を描くこと、犬の首輪や冬用のセーターを作ること、たまに犬の手作り食やケーキ作りも。犬と暮らす日常のひとコマを不定期にお届けします。

ドイツで「犬と暮らしたい」という人が引き取り先や購入先としてまず思い浮かべるのは、動物保護団体やブリーダーでしょう。
動物福祉の観点から、ペットや家畜などの動物をできるだけ良い環境で飼育しようという考え方や動きがドイツでは広がりつつあります。

ペットについていえば、自分のアクセサリーやおもちゃとしてではなく、きちんとパートナーとして扱うべきだという理由で、昨年には動物愛護法で飼育のあり方などが厳格化されました。
(日本国内でも同じような動きが進んでいると聞いています)

 

市場で出会ったプードル系の犬。散歩も兼ねてか、犬連れで買い物している飼い主さんは少なくありません。

市場で出会ったプードル系の犬。散歩も兼ねてか、犬連れで買い物している飼い主さんは少なくありません。

動物愛護法のルールは大きく分けて、一般の飼い主に対するものと、商用または個人のブリーダーに対するものがあります。
罰則や罰金については明言されていないので、状況に応じては、個々に科せられるのではないかと思います。

ブリーダーに対して改正されたルールには次のようなものが含まれていました。

まず、ブリーダーは一日に最低4時間は子犬の世話をすること。
しかも、同時期に世話をすることが許される子犬は3頭まで。加えて、犬をしつける際はスパイク付きの首輪など、痛みをともなう道具を使うことは認められていません。

それから、作為的な交配繁殖の結果として、「呼吸がしにくい」「皮膚に腫瘍ができやすい」「骨や関節が変形しやすい」など、先天的・遺伝的な理由で健康上の問題を抱えている犬を、品評会や各種ドッグコンテストなどに出すことも禁じられました。
これに関してはドイツ国内でも賛否があるとは思いますが、将来的に健康な犬たちを残すためには仕方がない部分もあると考えている人が多いようです。

 

ドイツなら犬同伴でどこでも入れる…という訳ではありません。ドッグランがある公園内でも、子どもの遊び場は犬の立ち入り禁止。互いの安全のために、ルールを守って利用することが前提になっています。

ドイツなら犬同伴でどこでも入れる…という訳ではありません。ドッグランがある公園内でも、子どもの遊び場は犬の立ち入り禁止。互いの安全のために、ルールを守って利用することが前提になっています。

一方、一般の飼い主に対するルールとは、例えば、犬の飼い場所としては屋外が眺められる環境におき、リードなどでつなぐことの禁止。
これは一般の住居内で飼う場合というよりも、納屋や小屋などで飼う場合を想定したルールのようです。ドイツでは家の中で犬と家族が一緒に暮らす人が多いのですが、そうではないケースのことを指しています。

また、飼い主は、成犬を飼育場以外の屋外で十分に運動させなくてはなりません。
草案には「最低1日2回、合計1時間は運動させる」という内容もあったものの、最終的には削除されたそうです。確かに、品種や年齢などを無視して一律に時間を決めるのは無理があるためでしょう。
実際、我が家のポチンスキーは高齢で、そこまで長時間の散歩をさせるとかえって体調を崩してしまいそうで心配になります。犬によって適切な運動量は違いますからね。

 

高齢になったポチンスキーは、晴れた日にする小さなバルコニーでの日向ぼっこがお気に入りです。マイペースに元気に過ごしてくれたらと思います。

高齢になったポチンスキーは、晴れた日にする小さなバルコニーでの日向ぼっこがお気に入りです。マイペースに元気に過ごしてくれたらと思います。

犬や猫などの動物たちを守るためとはいえ、行き過ぎた規則は不要だと思いますし、実現が難しい部分もあると思います。ですが、ドイツだけにとどまらず、近年ではヨーロッパ全体で同じようなルールが定められるようになっています。犬との暮らしについて、人々の意識の変化や暮らしの中での問題が表面化してきたことも背景にあるのかもしれません。
私たち人間と犬が共に幸せに暮らすための適度なルールはある程度必要なのかもしれませんね。