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2025.08.04
どんな対策が必要?犬を海へ連れて行くには~南半球のDog's letter~
世界の様々な地域に順応して暮らしている犬たち。
ところ変われば犬とのライフスタイルも変わります。日本とはちょっと違う?!共通してるかも?!と思える目新しいドッグライフ情報を、自然豊かな南半球に位置するニュージーランドからお届けします。今回は、犬との海の過ごし方について、ニュージーランドの環境ならではの規則や注意点などについてご紹介します。


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この記事を書いた人:グルービー美子
ニュージーランド・オークランド在住のトラベルライター。JAL機内誌やガイドブック「地球の歩き方」などに寄稿。子供の頃から柴犬と暮らし、現在はサビ猫のお世話係。趣味はサーフィン。
海で犬と安全に遊ぶためのルール
ニュージーランドは日本と同様、四方を海に囲まれた島国です。海へのアクセスは容易で、夏に限らず天気のいい日にビーチへ出かけることは一般的。犬を遊ばせるスポットとしても人気があります。このように、ニュージーランドで海は身近な場所ではありますが、犬を連れて行く際は一定の注意は必要。また、この国ならではのルールも存在します。今回は、環境保護を担当する政府機関DOC(Department of Conservation)が推奨する「犬を海へ連れて行く際の注意点」を調査しました。
野生動物・危険生物との遭遇
ニュージーランドの海岸ではオットセイがよく見られます。
DOCが最も注意喚起しているのは、野生動物との遭遇です。ニュージーランドの沿岸にはさまざまな野生動物が生息しており、例えばこの国最大の都市であるオークランド近郊のビーチでもオットセイが現れることがあります。岩場やビーチで寝そべっているオットセイは周囲と同化していて気づきにくいことも。オットセイなどの野生動物には原則として20m以内に近づいてはいけないと定められているうえ、犬の反応次第では事故につながる可能性もあります。オットセイのコロニー近くは犬の立ち入りが禁じられていますが、ほかのビーチでもばったり出合うことがあるので、犬のリードを外す前に周囲をしっかり目視して動物がいないことを確認したほうがいいでしょう。
左:カツオドリのコロニー(集団)/右:カツオノエボシ(英語ではブルーボトル)
おもちゃやボール、木の枝など犬の気を引くものを持参することが推奨されています
さらに、カモメ、オイスターキャッチャー(ミヤコドリ)、カツオドリといった海鳥も多く、場所によってはブルーペンギンの姿も。その中には希少なニュージーランド固有種もいるため、犬が鳥を追いかけないよう気を配らなくてはなりません。
DOCではオフリードにできる場所であってもリードを常に用意するのはもちろん、お気に入りのおもちゃやボールを持参し、鳥などの野生動物が近くに来たときはそれで犬の注意を引くようアドバイスしています。ビーチにはカツオノエボシのような毒をもつクラゲなど危険な生物が打ちあがっていることもあるので、それらから犬の気をそらす役割も期待できます。
ライフジャケットの着用
ライフジャケットの着用も効果的
海で遊ぶ際、特に泳ぐのが好きな犬の場合は高波や潮の流れにも気を配る必要があります。オークランドには遠浅で波が穏やかなビーチもありますが、筆者がサーフィンに行く西海岸などは見た目以上に波のパワーが強く、離岸流であっという間に沖に流されることも。義務ではありませんが、小型犬はもちろん、泳ぎが得な犬種でもライフジャケットの使用が薦められています。ライフジャケットを着せることで海水をたくさん飲んで食塩中毒になることを避けられる効果もあるでしょう。ちなみに人間の場合、小型船舶に乗船する際はニュージーランドでも日本同様にライフジャケットの着用が義務付けられています。
日焼け・やけど対策
黒砂のビーチではやけど対策が必要
ニュージーランドはオゾンホールの影響で紫外線が強く、一説には日本の7倍ともいわれているため、1年中日焼け対策は必須です。浜辺は日陰が少なく、水の照り返しもあるのでなおさらのこと。獣医師からは特に日差しの強い夏や日中は犬用日焼け止めを使ったり、ラッシュガードを着用したりなど対策をするよう薦められました。
さらに、天気のいい日は砂が熱くなるため肉球のやけどにも気を付けなくてはなりません。特にオークランド西海岸のビーチは黒砂でかなり熱くなり、人間でも裸足では歩けないほど。ニュージーランドでは日本のように犬用の靴はまだ一般的ではありませんが、夏の暑さは年々厳しくなってきているため、いずれ利用する飼い主が増えるかもしれません。


