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2023.04.24

慢性腎臓病の犬が制限するべき「成分」とは?食事で注意したいポイントについて[#獣医師コラム]

慢性腎臓病の犬が制限するべき「成分」とは?食事で注意したいポイントについて[#獣医師コラム]

「慢性腎臓病」は犬の病気のひとつですが、どのような症状が出て、他の病気とはどんなところが違うのか、ご存知でしょうか?
このページを見ている人の中には、実際に一緒に暮らす犬が慢性腎臓病と診断された、という方もいるかもしれません。

今回は、犬の慢性腎臓病と「食事」の関係について、獣医師さんに質問してみました。どんなことに気を付けて、どんなものなら食べさせても良いのか、一緒に考えていければと思います。

DOG's TALK

監修者:獣医師 菱沼 篤子

監修者:獣医師 菱沼 篤子

犬の栄養指導や犬の健康に関する専門知識を持つコンサル担当スタッフとして、さまざまな飼い主のお悩みを聞いている。

食の中心になる療法食は「進行を緩やかにすること」が目的。

前回の慢性腎臓病に関するコラムでもご紹介しましたが、残念なことに犬の慢性腎臓病を"治療する"薬や方法は見つかっていません。そのため、慢性腎臓病は不可逆的な疾患と呼ばれることもあります。
これは、一度失われてしまった腎臓の機能を再度使えるようにすることが不可能に近いため、こう呼ばれています。

そのため、動物病院の治療では、「腎臓の機能が失われるスピードを緩やかにする」そして「腎臓の機能が低下したことによる体への負担を小さくする」ということを目的として、食事指導や投薬を行うことが中心となります。

家庭でも、この基本の考え方は共通しています。これ以上腎臓の機能が低下しないように、そして体内に老廃物や不要な毒素を溜め込まないように、食事に含まれる成分の制限を行って行くことが大切です。

そして、現在の犬の慢性腎臓病では、投薬や通院による処置と同じくらいに食事療法が重要な役割を担っています。
慢性腎臓病の犬では「何をどれくらい食べているか」が、寿命に大きく影響すると思っていただいて良いと思います。

慢性腎臓病の犬が制限すべき成分は「リン」

食事療法での制限として、とくに注意しておくべき成分を、今回はなるべくシンプルにお伝えします。

慢性腎臓病の犬が注意するべき栄養素を一つ挙げるなら「リン」になります。

■「リン」は犬の体に蓄積される

リンは、カルシウムと結合して骨や歯を強化し、丈夫にする役割を担っています。また、残りは主に細胞に含まれ、細胞膜の構成成分やエネルギーの生成にかかわるなど、体にとってとても重要な役割を果たしているミネラルです。

健康な犬の体内で過剰になったリンは、腎臓の調節機能によって余分な量を尿から排出しています。しかし、腎臓病によって腎臓の機能が低下することで、排出されにくくなり、リンが血液中に蓄積されていきます。

この状態が犬の体調に悪い影響を与えることになります。

血液中のリンの濃度が高い状態が続くと、骨からカルシウムを取り出す指令を出すホルモンが分泌されるようになります。
これにより、骨が弱くなってしまうだけではなく、血液の中に大量に含まれるリンとカルシウムが結合し、骨以外の場所に沈着することで「石灰化」という現象が起こります。

■石灰化がさらに腎臓の機能を低下させる

血液の中で過剰になったリンが、骨から溶け出したカルシウムと結合して、体内の様々な場所で石灰化を起こしますが、これが慢性腎臓病の二次的な症状として現れるようになります。

・腎臓の繊維化、炎症
・心臓など循環器系の不調

中でも注意が必要なのが、腎臓の繊維化や炎症です。ただでさえ腎臓の機能が低下しているのに、これらが起こるとさらに腎臓の機能がより低下し、加速度的に腎臓の機能が失われることにつながります。

慢性腎臓病の犬なら、適切なリンの制限で寿命が延びる!

同じタイミングで慢性腎臓病と診断された犬がいて、一方はリンの制限を行わない食事を与えた犬、もう一方は適切にリンを制限した食事を与えた犬で比較した論文があります。

さて、リンの制限を行った場合と、そうではない場合ではどれくらい寿命に違いが出ると思いますか?


なんと、3倍です。


リンを制限しない食事を与えられていた犬は、200日後には生存率が50%、450日後には10%程度にもなってしまいます。600日以上の生存率となると、ほぼ0に近くなります

しかし、リンの制限を適切に行った犬では、生存率が約50%になったのが600日後まで延び、さらに700日、800日と命をつなぐ確率も30~40%ほどあるのです。
この数字からも、慢性腎臓病の犬の寿命に「リン」は大きく影響する成分であることが分かります。

リンが多く含まれる食事

リンの制限が犬の寿命に直結する、それならリンが少ない食事を…、と思う方が多いはず。リンが少ない食材を使った食事にはどんなものがあるのでしょうか?
それはズバリ、肉や魚が少ない食事です。

実は、肉や魚の主な構成要素であるタンパク質にはリンと相関関係があって、高タンパクの食事はリンの含有量も高くなる傾向があります。
ドッグフードは、少し前まで犬本来の食事として高タンパクで肉含有量が高い食事がトレンドとなっていましたが、こういったドッグフードは腎臓の機能が低下した犬には適さない食事…ということになります。

腎臓ケア向けの療法食などをチェックしてみても、タンパク質は15%前後のものも多く、一般的なドライフードと比較するとかなり低くなっています(療法食と総合栄養食では単純な栄養の比較はできませんが)。

以前食べていた一般食のフードと比べて、腎臓療法食は「食いつきが悪い」「すぐに食べなくなる」という声がよく聞かれるので、犬にとってはお肉たっぷりのドッグフードの方が、美味しいと感じるのでしょうね。

タンパク質はステージ2以降「対症療法」として制限する

リンのついでに、タンパク質と慢性腎臓病の関係についてもご紹介します。
実は、タンパク質自体の制限に関しては慢性腎臓病に良い影響があるという明確なエビデンスが得られているわけではありません

とはいえ、まったく関係がないという訳でもなく…。実は、タンパク質に含まれるアミノ酸を分解する時に尿素窒素(BUN)と呼ばれる成分が作られます。この成分も、本来であれば腎臓でろ過されて老廃物として尿から排出されます。
しかし、腎臓の機能が低下している状態ではBUNが上手く排出できず、リンと同じように体内に蓄積されることになります。BUNが一定量以上体内にとどまり続けると、尿毒症と呼ばれる症状がみられ、重篤になるケースも。

ですから、「腎臓の機能が低下しているために起こりうるリスクや体への負担を減らす」という意味で、タンパク質の制限は効果的です。
主に、腎臓の機能がある程度残っていて、尿毒症の症状がみられることがないステージ2まではタンパク質の制限は必要ないと考えられています。

ナトリウムの制限は必要なの?


さて、「塩分は腎臓に悪い」という話を聞いたことがある方もいると思います。そのせいか、腎臓の機能が低下した犬のために塩分を控えるべきではないか、と考える方も多いです。
正確には、塩分に含まれるナトリウムという成分が関係しているのですが、そういわれるようになった仕組みも確認していきましょう。

人間の慢性腎臓病では治療が必要なレベルの高血圧になることが多いです。腎臓のはたらきが悪くなると血圧の調整に関連するホルモンの影響や、余分な塩分と水分の排泄が十分にできないために、血液量が増加し、血圧が上がるためです。
だから、腎臓が悪い人は塩分を控えるように、と指導されるのです。

犬も同じように、腎臓の機能の低下に伴い血圧が高めになる傾向は見られます。
ただし、人間と違うのが、犬ではナトリウムを制限しても、人間ほど顕著に血圧が下がらなかった、ということ

ただし、慢性腎不全の「猫」では高塩分食によって血液検査の数値が悪化したという実験結果もあるようです。

このように、犬の慢性腎臓病とナトリウムの関係性ははっきりとしたことが分かっていないというのが正直なところです。
ただ、わざわざ塩分を摂取させることにも特別なメリットがある訳ではないので、控えておいた方が良いですね、という考え方をする獣医師が多いように思います。

おわりに

今回は、慢性腎臓病の犬の食事選びで意識したい成分についてご紹介いたしました。
療法食、というと「食いつきが悪い」「ミールを使っていたりして、原材料の質が悪い」というイメージを持つ方も多いように思います。
でも、慢性腎臓病になった犬が制限する必要がある成分をなるべく控えめにして、ドッグフードを作ろうとすると、どうしても美味しさなどが犠牲にならざるを得ないという側面もあったように思います。
また、慢性腎臓病の場合は、分かってからほぼ一生の間、療法食を続ける必要がありますから価格も大切ですよね。
今、腎臓の療法食を与えている方へ「栄養制限の中での生肉」という原材料と「価格」にこだわり抜いたPOCHI 食事療法食 腎臓ケア フレッシュチキンも選択肢の一つとしていかがでしょうか。

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