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2023.08.03

ドイツの街角から ~犬も人も、ルーツは色々~

ドイツの街角から ~犬も人も、ルーツは色々~

*1 pochinski: スペインのマジョルカ島で保護され、家族になった犬と現在ドイツで暮らす旅行&ファッションライター。趣味は犬の絵を描くこと、犬の首輪や冬用のセーターを作ること、たまに犬の手作り食やケーキ作りも。犬と暮らす日常のひとコマを不定期にお届けします。

ケルンの街中を歩いていると、ドイツ語はもちろん、さまざまな国の言葉を耳にします。
ドイツ語が母国語でなかったり、会話にドイツ語以外の言葉を使っていたりする人がある程度いるということでしょう。
実際、ドイツの人口の約3割は外国からドイツへと移住した人が占めています。その中でここ1,2年特に増えているのが、ドイツへ避難しているウクライナ出身の人々です。
ケルン駅にも昨年末まで、到着した避難民のための登録するための施設が開設されていました。

 

教会の前の掲示板には、困っている人や動物のためのさまざま支援募集の案内が。長期間掲げられていたためか、国旗がちょっと色あせています。

教会の前の掲示板には、困っている人や動物のためのさまざま支援募集の案内が。長期間掲げられていたためか、国旗がちょっと色あせています。

避難しているのは人だけではありません。
犬や猫といった動物たちも避難してきており、緊急時の対応などがとられています。
例えば、ウクライナからのドイツ入国時に必要な狂犬病予防ワクチン接種済みの証明書は不要。
入国後は動物病院での健康診断、チップの埋め込み、各種ワクチン接種などが求められていますが、特定の動物病院ではこれらの費用が期間限定ながら無料だったのだとか。
ヨーロッパ各国の獣医師から構成される欧州獣医師連合などの支援があったようです。

飼い主と一緒に避難できた動物たちがいる一方、現地に残された動物も相当数に上るため、いくつもの民間団体や個人がレスキューに尽力しています。
一口に「レスキュー」と言っても、さまざまな手段があります。
ウクライナで保護した動物の里親をドイツで探したり、現地に暮らす動物の里親として月々の寄付を募ったり、現地のシェルターで動物が生活するための資金援助を送ったり、現地へ送る物資を募ったり、などです。

 

偶然なのか、青と黄の2色の組み合わせを街中でたまに見つけます。

偶然なのか、青と黄の2色の組み合わせを街中でたまに見つけます。

フランスのある街で見かけた風景。日本で言うところの地域猫でしょうか?

フランスのある街で見かけた風景。日本で言うところの地域猫でしょうか?

ドイツでは世界情勢に関係なく、南ヨーロッパや東ヨーロッパで犬や猫をレスキューし、里親を探すという保護団体が以前から多く活躍していました。
わが家のポチンスキーももともとは南ヨーロッパの保護犬です。
ドイツではペットショップで犬を販売する店が少ないため、保護団体を通して犬を受け入れる人が多いのです。
近頃、東欧からの犬や猫を家族として受け入れているドイツ人は少なくないのかもしれません。

 

私たちと暮らしていたポチンスキーも保護犬出身でした。少しでも多くの犬たちや人々が幸せをつかめますように、と祈らずにはいられません。

私たちと暮らしていたポチンスキーも保護犬出身でした。少しでも多くの犬たちや人々が幸せをつかめますように、と祈らずにはいられません。

さて、ドイツへの避難民の方々はそれぞれに新しい生活を始めています。
知り合いの会社でも、子どもと母親と避難してきた避難民の女性が働いていますし、買い物に行った先の店員さんが偶然ウクライナからの人だったということもありました。
本来あるべき状況とは異なる環境下に置かれている動物たちも、避難先の国々で安全に、そして幸せに暮らしてほしいと願っています。