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2024.02.29

全国で約50頭が活躍中!NZの介助犬には2種類ある?~南半球のDog's letter~

全国で約50頭が活躍中!NZの介助犬には2種類ある?~南半球のDog's letter~

世界の様々な地域に順応して暮らしている犬たち。
ところ変われば犬とのライフスタイルも変わります。日本とはちょっと違う?共通してる?目新しいドッグライフ情報を、自然豊かな南半球に位置するニュージーランドからお届けします。

さまざまな働く犬たちが活躍しているニュージーランドですが、今回ご紹介するのは2種類の"介助犬"について。
ニュージーランドでは、一言で介助犬といっても、仕事内容によって2種類に分けられるのだそうです。
どんな違いがあるの?どんな風に育てられているの?といったちょっとした疑問についてご紹介いたします。

お仕事にやりがいを感じて、笑顔あふれる犬たちの姿と一緒にご覧ください。

助けが必要な人々をサポートする犬たち

テレビのリモコンなどほしいものを持ってきてくれるモビリティードッグ

テレビのリモコンなどほしいものを持ってきてくれるモビリティードッグ

肢体に障がいを持つ人をサポートするモビリティードッグ(介助犬)と、病院や学校などで患者のメンタルをケアするセラピードッグ。
現在、ニュージーランド全国で約50頭の介助犬・セラピードッグが、助けが必要な人々のために働いています。
彼らはどのような訓練を経て、どのような仕事を担っているのでしょうか。ニュージーランドの介助犬協会「モビリティードッグス」で話を伺いました。

2年かけて介助犬を育成

介助犬の大切な資質は人が大好きなこと。育成過程でたっぷり愛情を受けてさらに人が大好きになっていく子が多いそう

介助犬の大切な資質は人が大好きなこと。育成過程でたっぷり愛情を受けてさらに人が大好きになっていく子が多いそう

モビリティードッグスは主に介助犬の育成を行う慈善団体。
スタッフのペニー・ホワイトさんに聞いたところ、介助犬・セラピードッグになるのに必要な資質は、人が好きなこと、大きな音に怖がらないこと、穏やかな性格、コマンドをすぐに理解する賢さなど。
犬種はラブラドールとゴールデン・レトリバーが多く、素質がある子犬を選び、2年かけて一人前の介助犬に育て上げるそうです。

「子犬は生後8週目から育成ボランティアの家に預けられ、1年間愛情をたっぷり注がれて暮らします。その間、お座り、待て、伏せといった基本的なコマンドを教え、毎週1回はモビリティードッグ専門トレーナーのグループセッションに参加。そして定期的にトレーナーと1対1で訓練および評価が行われます」

日々の様々な場面で活躍する介助犬。まさに体の一部のような存在です

日々の様々な場面で活躍する介助犬。まさに体の一部のような存在です

12~14カ月になると同協会が実施する「パピーズ・イン・プリズン」に参加。
これは刑務所内で受刑者が子犬の訓練と世話を担当するプログラムで、24時間体制で実施されるそう。
そしてこのプログラムをクリアすると、いよいよ最終段階のアドバンス・トレーニングに進みます。
この時、犬はシニアトレーナーのもとで生活し、より高度な訓練を受けることに。
トレーニングのラストには、パートナーとなる障がい者のニーズに合わせた特別なコマンドも指導するといいます。
「このように、介助犬を育てるには長い時間と努力が必要で、費用は1頭あたり5万NZドル(約450万円)もかかります」

介助犬としてデビュー後はパートナー宅で暮らし、パートナーと常に同行。
指定した物を持ってくる、ドアの開け閉め、衣類の脱着補助、歩行や起床の補助、買い物の手伝いなど、日常生活のすべてをサポートします。

歯科医院や学校で働く犬も

歯医者さんは嫌いだけど、デンタルドッグに会いたくて歯医者さんに通う子どもも少なくないのだとか…。

歯医者さんは嫌いだけど、デンタルドッグに会いたくて歯医者さんに通う子どもも少なくないのだとか…。

介助犬として訓練されても、適性を見てセラピードッグとなる場合もあります。
介助犬がパートナーと1対1で仕事をするのに対し、セラピードッグの職場は病院、リハビリテーションセンター、教育機関、特別支援学校、薬物やアルコール依存者の回復支援施設など。
また、最近はコートドッグとして裁判所で働く機会も増えてきました。

病院や教育機関では、医師、教師といったハンドラーとペアを組み、患者や児童のストレスを軽減させ、落ち着かせるのがセラピードッグの仕事。
例えばオークランドには歯科医院で働くセラピードッグ(デンタルドッグと呼ばれています)が2頭いるそうです。

 

デンタルドッグがいれば、歯医者さんなのに子どもも笑顔。犬の存在には不思議な力があると思います

デンタルドッグがいれば、歯医者さんなのに子どもも笑顔。犬の存在には不思議な力があると思います

「デンタルドッグが待合室にいると子供が歯医者に行くのを嫌がらないと好評です。治療中、犬が患者のそばに付き添うこともあります。デンタルドッグを撫でていると、治療への恐怖も和らぐようです」
人の体にも心にも寄り添ってくれる優しい犬たち。
介助犬・セラピードッグの数はまだまだ需要に追い付いていませんが、現在8頭の子犬がパピーズ・イン・プリズンに参加中。
近い将来、介助犬として活躍することが期待されています。

取材・写真協力

*1  Mobility Dogs