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2025.02.06
犬が頑固になったらどうしたらいい?《RETRIEVER + POCHI archive005》
イラスト=野田節美
構成・文=RETRIEVER編集部
「RETRIEVER」は、ゴールデン、ラブラドール、フラットコーテッドを中心とした、レトリーバー種の専門誌。
陽気で明るい性格は家族に笑いをもたらし、豊かな表情は言葉が通じなくてもコミュニケーションを可能にしています。
何と言っても、人間に対する愛情がとても深い。そんな犬種との暮らしを紹介する「RETRIEVER」さんの素敵な記事をピックアップしてPOCHIバージョンでご紹介。
犬種が違っても読めばきっと皆さんのドッグライフがより充実したものになるはずです。(POCHI編集チーム)
それ、本当に“頑固”が原因?
シニアの飼い主と話すと出てくることの多い、「うちの犬が頑固になった」というセリフがあります。
読者アンケート結果は7割近くの人が「犬がシニアになって頑固になった」と感じていることがわかりました。また、ほとんどは飼い主が「散歩中、行きたい方向に行きたがらない」と答えています。
「“頑固”とは主観で、飼い主さんがそう感じているということですよね。例えば、散歩中に座り込むにしても、犬からしたらいろいろ理由があるはずです。まずは、どういう時にそうなっているか、客観的・具体的に見ていくと、原因はわかることが多いと思います」と動物行動学を専門とする獣医師の水越美奈先生は話します。さまざまなケースの原因と対処法を見てみましょう。
Case1散歩中に動かなくなる
★こういう可能性はある?
✓ 疲れた、暑いなど身体的にしんどい
✓ 行き先に苦手なものがある
✓ 外にいることが不安
✓ ただ歩いているのがつまらない
原因歩かないほうが得と学習している場合も…
飼い主が犬を頑固だと感じる、ダントツNO.1がこの理由です。
散歩中に歩かなくなってしまう場合、まずは動物病院で相談し、関節炎や心臓病、肥満など身体的な原因がないかをチェックしましょう。その上で、犬がどういう状況でいつも歩かなくなるのかを客観的事実から考え、健康状態に問題がなければ、「歩かないほうが得」という学習部分が大きいと考えられます。
「公園のほうへ行きたくない」など、歩かなくなるきっかけを探して、苦手を克服・回避させるとともに、「歩いたほうが得」と学習し直しましょう。
対処歩いたほうが得と学習し直しさせよう!
犬はあらゆる行動を、自分の損得と考えています。
散歩中に順調な歩調で歩いている時にごほうびを与えると、歩くモチベーションが上がり、「歩いたほうが得」という学習が生まれます。
Case2食べ物を選り好みする
★こういう可能性はある?
✓ 食べない時に美味しいものをトッッピングしている
✓ ごはんがいつも置きっぱなし
✓ 歯が痛い、体調が悪い
原因「食べないほうが得」と学習している場合も…
ドッグフードなどいつものごはんを出しても犬が食べない時、追加で肉や、ゆで汁などをトッピングしている人は多いと思います。これを繰り返すと、ご飯をすぐに食べずに待てば、もっと美味しいものが出てくると学習してしまっているケースがあります。
最初のころは、肉のゆで汁をかければ食べていたのが、肉自体をトッピングしないと食べられなくなるなど、要求がどんどんエスカレートしてしまう場合もあります。
対処フードと美味しいものを交互に与る
犬がごはんを食べない時に追加で美味しものをトッピングするのではなく、ごはんを食べきったら美味しい“デザート”がもらえると学習させましょう。
デザートを楽しみに、ごはんを頑張って食べる子どもと一緒です。
まずは、犬が食べきれる程度の少量のフードを与える。食べきったら、その後においしい物を与えます。さらにまた少量のフード、おいしい物と、交互に与えていく。徐々にフードの量を増やし。だんだんデザートがない日も設けて、フードだけでも食べられるようにしていきましょう。
Case3呼んでも無視する
★こういう可能性ある?
✓ 呼んできてもほめていない
✓ 呼んできてもだいたいイヤなことをしている
✓ 一緒に楽しいことをしていない
✓ 耳が聞こえにくくなっている
✓ 立ち上がるのがしんどい
原因合図に従うことが楽しくなくなっている
犬が若いころは、合図に従ったらたくさんごほうびを与えていたのに、いつの間にかできて当たり前になり、全然ほめていないということはありませんか?それどころか、呼びつけて叱ったり、お手入れしたり、嫌がることをする時にしか呼んでいないケースがあります。
たとえ渋々でも犬が合図に従ったら、年齢に関係なく毎回ほめてあげないと、「どうせ従ってもいいことがない」という学習を重ねてしまいます。
対処いろいろなタイミングで「ついでトレーニング」を!
トイレに行く時や、洗濯やテレビのCMの時など、時間を決めず何かのついでに合図を出す「ついでトレーニング」をして、いつでもどこでも合図が出ても聞けるようにしよう。シニア犬にとってはいい脳トレにもなります。
その際に、できたら必ずほめて、犬に「やると楽しい!」と思わせることがポイントです。
合図を1 〜 2回出してもできなければ、何度も出さず、立ち去ってしまってかまいません。そうすることで、合図が出た時に従わないとかまってもらうチャンスを逃すと思わせることができます。
出典:『RETRIEVER』Vol.105/「頑固なレトとのつき合い方」
*1 監修: 水越美奈。 みずこしみな。獣医師。日本獣医生命科学大学獣医学部獣医保健看護学科教授。動物病院勤務、アメリカ留学、行動クリニック開業を経て、現職。監訳書に『犬と人の絆:なぜ私たちは惹かれあうのか』(緑書房刊)他多数。


