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2025.04.07
Dog Snapshot R 令和の犬景Vol.49 早春の梅林 犬たちと春の息吹を感じる幸せ

写真・文 内村コースケ
犬は太古より人類と一緒に歩んできました。令和の世でも、私たちの暮らしにさまざまな形で犬たちが溶け込んでいます。このフォトエッセイでは、犬がいる情景を通じて、犬と暮らす我々の「今」を緩やかに見つめていきます。
春の花便りを求めて

今年の春先は大雪が降ったりとなかなか暖かくならず、この原稿を書いている3月24日時点で、数日前からようやく春らしい気候となりました。高知県と熊本県で桜の開花宣言が出され、東京でも間もなくほころびそうです。
春に桜を鑑賞するようになったのは平安時代以降で、奈良時代までは、花見と言えば梅だったそうです。奈良時代末期の「万葉集」では、梅を詠んだ句が110句、桜を詠んだ句が43首に対し、平安時代前期の「古今和歌集」では桜が70首、梅が18首と逆転しています。現代では、一般的に2月下旬〜3月下旬に咲く梅は、冬が終わり春の息吹を感じる早春の花のイメージで、桜は春本番を告げる風物詩として、それぞれに愛でられています。
そんな花だよりにも、南北に長く標高差も大きい日本列島では、地域差が結構あって、僕が住んでいる長野県の山間部では、梅、杏(あんず)、花桃、山桜、桜などが重なり合いながら、4月下旬のゴールデン・ウィークごろに一気にほころびます。そのため、全国平均に近いタイミングで花見をしようとすると、近隣の地域まで遠征しなければなりません。昨日(3月23日)は、県内の犬友と誘い合わせて、山梨県の甲府盆地まで下りていきました。このエリアでは、桜や桃はまだ数週間先、梅の見頃が駆け込みセーフという開花状況でした。

女子2、男子3でお花見!
参加メンバーは、ボストン・テリアのmuniちゃん。

同じく、tottoちゃん。

ピットブルとフレンチブルのミックス、JAZZくん。

フレンチブルのBOBくん。

そして、うちのルカ(ラブラドール・レトリーバー)です。

一気に訪れたグリーンシーズン




前日から気温が一気に上がり、この日は各地で夏日に。犬たちにとっては、今年初めて暑さ対策が必要な陽気でした。頭上の梅の香りだけでなく、輝く下草の緑も、グリーンシーズンの到来を告げていました。
出会いの春

犬たちがハァハァし始めたので、日陰を作るあずま屋でしばし休憩。ルカにとっては初対面の子もいましたが、ここまでの道のりを一緒に歩き、休憩中にあらためてあいさつをして、すっかり打ち解けた様子でした。



花より団子

花の美しさを目で愛でるのは、人間だけでしょう。でも、犬もやっぱり、 花の香りや飼い主の楽しげな様子を感じ取って一緒に花見を楽しんでいるのだと思います。そして、お弁当の時間になると花より団子!人が食べているものが気になって仕方がありません。


食べて、遊んで、うとうと。ぽかぽか陽気の中、犬たちの平和な光景を見るのが、私たち飼い主の最大の幸せですね。

■ 内村コースケ(写真家)
1970年ビルマ(現ミャンマー)生まれ。少年時代をカナダとイギリスで過ごした。早稲田大学第一文学部卒。中日新聞の地方支局と社会部で記者を経験後、カメラマン職に転じ、同東京本社(東京新聞)写真部でアフガン紛争などの撮影に従事した。2005年よりフリーとなり、「撮れて書ける」フォトジャーナリストとして、ペット・動物愛護問題、地方移住、海外ニュース、帰国子女教育などをテーマに撮影・執筆活動をしている。特にアイメイト(盲導犬)関係の撮影・取材に力を入れている。ライフワークはモノクロのストリート・スナップ。日本写真家協会(JPS)正会員。本連載でも取り上げたアイメイトのリタイア犬との日々を綴った『リタイア犬日記〜3本脚の元アイメイト(盲導犬)の物語〜』で、大空出版「第5回日本写真絵本大賞」毎日小学生新聞賞受賞。同個展をソニーイメージングギャラリー銀座で開催した。