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2025.05.26
シニア犬の健康に低リンがいい理由|トッピングで注意すべき食材も紹介
最近、ドッグフードで「低リン」の表記を見かけることが増えてきました。
しかし、「リンって何?」「どうして低いほうがいいの?」と感じる飼い主さんも多いと思います。
リンはミネラルの一種で、犬の体に必要な成分ですが、とくにシニア犬の腎臓ケアには過剰にならないよう気をつけたい栄養成分。
本記事では、リンの働き、シニア犬に低リンが推奨される理由、トッピングで注意すべき食材を詳しく解説します。
【基礎知識】リンとは?
リンとは、ミネラル成分の一種で、動物性タンパク質に多く含まれる成分です。
+リンの働き
リンは、カルシウムと同様に骨や歯の形成に欠かせないミネラルです。
また、細胞膜やエネルギー代謝にも関与し、健康な体を維持するためには欠かせません。
低リンが注目されているものの、適量なリンの摂取(カルシウムとのバランスも重要)は、犬の体の健康維持に必要な栄養素です。
+動物性タンパク質に豊富
リンは、主に動物性タンパク質に多く含まれます。
肉や魚、内臓などを多く食べるほど、自然とリンの摂取量も増加します。
「高タンパク」の食事は、それに比例してリンの過剰摂取リスクも高まるため、腎臓に不安がある犬では注意が必要です。
リンの過剰摂取による犬への影響
リンの過剰摂取は、腎臓や骨への影響が考えられます。
+腎臓に負担をかける
腎臓は、体内の老廃物や余分なミネラルをろ過して尿として排出する「フィルター」のような臓器です。
リンも腎臓で排出される成分の一つですが、加齢や疾患により腎機能が低下すると、リンをうまく排出できなくなり、血液中のリン濃度が上昇します。
この状態を「高リン血症」と呼び、骨からカルシウムが流出しやすくなったり、体内の代謝バランスが乱れたりする要因になります。
とくにシニア犬や腎臓に不安のある犬は、リンのコントロールは腎機能を守るために大切です。日々の食事での摂取量とカルシウムのバランスに注意しましょう。
+カルシウムの吸収を阻害する
リンを摂りすぎると、骨の健康にも影響が出る可能性があります。
過剰なリンは、小腸でのカルシウムの吸収を妨げ、骨の形成や維持に必要なカルシウムの供給が不足します。
カルシウムとリンは相互作用のあるミネラル成分であり、摂取バランスがかなり重要です。
理想的なカルシウム:リン比は1:1〜2:1(子犬期では、2:1)とされており、リン過多の状態では、骨密度の低下や骨粗しょう症のリスクが高まることもあります。
高リン食材を頻繁にトッピングすると、低リンドッグフードを選んだとしても、バランスが悪い状態のままなので健康維持にはカルシウムとリンの摂取バランスも気にしてください。
リンの摂取量
リンの摂取量は、総合栄養食の基準であるAAFCOにより定められています。
普段食べているフードのリン量を把握しましょう。
+総合栄養食のリンの基準
AAFCO(米国飼料検査官協会)の基準によると、成犬用のドッグフードに含まれるリンの最低基準値は0.4%(乾物量ベース)とされています。
市販のフードでは、おおよそ0.4〜1.2%の範囲が多く、商品ごとにばらつきがあります。
+低リンドッグフードの選び方
一般食を食べているシニア犬でそろそろ腎臓のことを考えたいときは、リン含有量はAAFCO基準(2022)の最低値100gあたり「0.4%」、最大値「1.6%」という数字を覚えておくといいと思います。
注意していただきたいのは療法食です。例えば、「POCHI 犬用食事療法食 腎臓ケア」は、リン含有量が0.3%と一般成犬用AAFCO基準と照らし合わせても最低値に達していない特別な処方になっています。
トッピングでリンが増えるってホント?
低リンフードを選んでいても、日々のトッピングにより、リン量が増加することは気に留めておいてください。
+リンが多いトッピング食材
次の食材はリンを多く含むため、上限値やカルシウムのことも考えてトッピングしましょう。
✓ ゆで卵(卵黄)
✓ チーズ類
✓ レバー
✓ 牛肉・鶏むね肉(特に生や加熱後の重量で与えると多くなりがち)
✓ 魚(特に小魚・干物類)
たとえば、低リンフード(リン0.5%)に、鶏レバーや卵黄、チーズなどをトッピングした場合、 結果的にリンの総摂取量が1.0%を超える可能性もあります。トッピングの「足し算」でAAFCO基準の栄養バランスが台無しにならないよう注意しましょう。
+比較的、低リン食材
腎臓をいたわりながら楽しめる、低リンのトッピングは次のとおりです。
✓ かぼちゃ(茹で)
✓ にんじん(茹で)
✓ さつまいも(茹で)
✓ 白身魚(タラなど、しっかり茹でて水気を切る)
✓ 豆腐(絹ごしがおすすめ)
消化にやさしく、リンが少なめで腎臓にも負担をかけにくい食材であるため、適量をトッピングすれば、嗜好性アップにつながります。
まとめ
シニア犬の健康を守るためには、リンの摂取を抑えることが大切です。
トッピングにより、リンが上限値「1.6%」以上と過剰にならないよう注意し、かつ、カルシウムとのバランスも心がけましょう。
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