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2025.07.07
犬と一緒に星空観賞。マオリの新年マタリキをご紹介~南半球のDog's letter~
世界の様々な地域に順応して暮らしている犬たち。
ところ変われば犬とのライフスタイルも変わります。日本とはちょっと違う?!共通してるかも?!と思える目新しいドッグライフ情報を、自然豊かな南半球に位置するニュージーランドからお届けします。今回は日本の七夕にちなんで、星空に関する情報をご紹介します。


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この記事を書いた人:グルービー美子
ニュージーランド・オークランド在住のトラベルライター。JAL機内誌やガイドブック「地球の歩き方」などに寄稿。子供の頃から柴犬と暮らし、現在はサビ猫のお世話係。趣味はサーフィン。
世界有数の星空観測地
大気中に不純物が少なく、地方へ足を延ばせば光害の影響を受けにくいニュージーランドは、天体観測に最適な国のひとつです。特に夜の時間が長く、空気の澄んだ冬は、星空観賞のベストシーズン。早朝や夕方以降の散歩の際、愛犬と一緒に空を見上げるのも楽しいひとときです。今回は日本とは異なるニュージーランドの星空と、星とのかかわりが深いマオリの新年「マタリキ」についてご紹介します。
南半球特有の星空とは
ニュージーランドを含む南半球で最も有名な星といえば、みなみじゅうじ座の南十字星でしょう。日本では沖縄の一部でしか見られませんが、ニュージーランドでは南の方角で1年中観測することができます。
星座の起源は古代メソポタミア時代に遡りますが、南半球で星座が作られるようになったのは15世紀末~17世紀末の大航海時代。当時、南十字星は船乗りが南極の方角を知る目印となっていたそうです。南十字星と同じ南の空では、イータカリーナ星雲、大マゼラン星雲、小マゼラン星雲も見どころ。これらは南半球特有の星雲です。
こいぬ座。明るく輝くプロキオンが目印。
北半球の星座がニュージーランドでは上下逆さまになるのも興味深い点でしょう。例えば日本では冬の星座をして知られ、南の空に輝くオリオン座は、ニュージーランドでは夏の星座。北の空に、日本とは上下逆さまに上がってきます。オリオン座の近くにあるおおいぬ座とこいぬ座も、ニュージーランドでは夏に見られます。おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンは明るい星なので発見しやすいでしょう。犬好きとしては見つけると嬉しくなる星座でもあります。
北半球でおなじみの星座はギリシャ神話にまつわるものが多数あります。しかし、前述の通り、大航海時代から星座が作られるようになった南半球にはそうした神話が存在しません。また、カメレオン座、とびうお座、はえ座といったユニークな名前の星座が多いのも特徴といえるでしょう。
マオリの新年「マタリキ」
ギリシャ神話には登場しないニュージーランドの星ですが、先住民マオリの世界では重要な意味を持ちます。その代表格が、冬の夜明け前、北東の地平線のすぐ上に現れる「マタリキ」。日本では昴、ハワイではマカリイと呼ばれるプレアデス星団のことです。プレアデス星団には無数の星が集まっていますが、肉眼で確認できる星は6~9個程度。マオリの神話ではマタリキと6人の娘たちといわれ、9つの星にそれぞれ名前が付けられています。マタリキが空に出現するようになると、マオリは新年を迎えます。マオリのお正月自体もマタリキと呼ばれており、ニュージーランドの祝日です。
マタリキ
マタリキの日は太陰暦に基づいているので毎年変わりますが、だいたい6月下旬から7月上旬頃。2025年は6月20日で、2026年は7月10日がマタリキです。マタリキのお祝いの仕方は、どこか日本のお正月と似ています。故郷に帰り、家族が集まり、亡くなった人たち(先祖)のことを偲びながらマタリキのごちそうを一緒に食べ、次の年の計画や目標を立てます。
空に輝くマタリキを見るために家族で早起きし、星に願い事をするのもこの時期のならわしです。この時はもちろん犬も一緒。真夏のお正月のウキウキした感じもいいですが、冬に迎えるマオリの新年は、寒さもあって自然と気持ちが引き締まります。この次の1年も、犬と一緒に健康で幸せな毎日を過ごせますように!


