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2019.05.30

散歩中に犬が草を食べる理由って?食べても大丈夫なの?

散歩中に犬が草を食べる理由って?食べても大丈夫なの?

お散歩をしている時、犬たちが草むらに入っていって草のにおいをかいでいたかと思うと……ぱくっ。と、草を食べてしまうのは比較的よく見られる光景です。
でも「こんなところの草を食べるなんて、危なくないの?」「なんで草を食べちゃうんだろう…」「虫がいたりしないかしら…」と思ったり、「本能的に食べいてるということは、何かしら体が要求している栄養があるの?」「どんな葉っぱを選んでるの?」なんてことを考えたりします。
そこで、今回は「犬が草を食べてしまう理由」についてご紹介します。犬の体調管理のためには、注意したいポイントはあるのかなども合わせてご紹介します。

犬が草を食べるとき、考えられる3つの理由

犬が草を食べるというのは一般的に良く見られる行動で、問題行動とみなされることはありません。問題がないにしても、これって病気のサイン?など不安に思っている飼い主も多いですよね。そこでここでは、以前からよく言われている"犬たちが草を食べてしまう理由"をいくつかご紹介します。

理由その1消化器系の調子を整えるため?


草には多くの繊維質が含まれているため、下痢が続いていたり、逆に便秘気味の時など、犬たちはお腹の調子が良くないと感じていて、草でお腹の調子を整えようとしていることが理由かもしれません。良く見ていると、先の尖った細長い草を選んで食べている犬が多いようです。
犬や猫が食べることができる草、いわゆるペットグラスや猫草と呼ばれる植物も先がとがっていますよね。胃腸を刺激したり、うんちを固める働きがある不要性食物繊維として食べているのかもしれません。

中にはお腹の調子を整えるハーブ類などを選んで食べていることもあるようです。

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ペット栄養管理士 O

犬たちが食べて体調を整えることがある代表的なハーブには、ネトル、ドクダミやクリバース(ヤエムグラ)、ダンディライオン(タンポポ)、ペパーミントなどがあります。これらのハーブの特徴を覚えておくと、犬たちが「食べても大丈夫」な植物を見分けることができるだけでなく、犬たち自身が「ちょっと気になっている」くらいの変化を見抜く助けにもなりそうな気がしますよね。
同じ種類の草を食べたがるようであれば、その植物について調べてみることでウチの子の体調や行動の理由についてもっともっと深く知ることができる気がします。

理由その2栄養補給のため?

もともと、草食動物を狩って食べていたオオカミなどの野生動物たちは、草食動物の胃の内容物を食べたりすることで、植物由来のビタミンやミネラルなどの栄養を補っていると考えられています。
人間と一緒に暮らすようになった犬たちの場合は、あまり野生の動物の胃の内容物を食べる機会はありませんが、もしかしたらビタミンやミネラルなどの栄養を補うために、草を食べようとすることもあるのかもしれません。散歩中に土を舐める犬もいるようです。
食事の内容を見直し、お野菜などをトッピングしたり、不足していそうなビタミン類を補うサプリメントを活用することで、草を食べるのをやめてくれる可能性があります。
また、現在では草食動物の胃の内容物を再現したフードも販売されています。グリーントライプと呼ばれるものは、草食動物の胃とその内容物をそのまま使用しているもので、非常に犬の嗜好性が高いことが知られています。

理由その3異物を吐いたり、寄生虫を排出するため?

猫の場合であれば、グルーミングを行うことで体内にたまったヘアボール(毛玉)を吐き出したり、ウンチとして排出するために草を食べようとすることが知られています。
でも、犬たちの場合はあまりグルーミングでヘアボールがお腹の中にできてしまうということは考えられません。

胃の内容物を吐き出そうとして、先の尖った草などを食べている可能性もあります。犬たちが直前に食べたものを吐き出した場合は、胃の調子を整えるためにしたことですので、叱らずにお水などを飲ませて落ち着くのを待ちましょう。注意したいのは、ここで食べてしまったものがきちんと出ているかどうかです。

寄生虫がいると草を食べたがることもあるようですが、寄生虫がいなくなっても草を食べたがる犬もいるので、あまり因果関係はないようです。

もしかしたら一番多いのはコレかも。草が好き。それだけ。


草を食べたがる犬たちの多くは、実は単に「草のにおいが好き」「草をむしるのが楽しい」「草の歯ざわりがクセになる」「ストレス発散になる」などなど、楽しみとして草を食べたりしているのかもしれません。食いしん坊の犬であれば、「小腹が減って、つい…」なんてこともあるのかも。
よくよく観察してみると、実際には草を飲み込まずにむしっているだけ、ということもあるようですよ。

周囲に生えている雑草ですら楽しいオモチャにしてしまう犬たちには「さすが、楽しいことをみつける天才!」と拍手を送りたくもなってしまいます。
ただし、注意したいのが除草剤が撒かれていたり、犬たちに有害な植物をかじろうとすることもあるので、草むしりや草をモグモグと楽しむタイプの犬たちには、家のお庭の草で我慢してもらったり、ホームセンターなどで販売されている猫草を用意するなどして、家の中で楽しんでもらうのが良いかもしれません。

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市販されている「猫草」や「ペットグラス」などの名前の草の多くは、エンバク(燕麦)の若い柔らかな芽であることがほとんどです。エンバクは馬などの家畜の餌にもなるイネ科の植物の一種で、成長するとオート麦やオーツなどの名前で呼ばれる穀物が実ります。犬用のビスケットなどにも使われていることがあります。
犬たちが好き好んでかじったり抜いたりするのがイネ科の植物のようであれば、家庭栽培のエンバクでも喜んでくれるかも……?

おわりに

犬たちが道端に生えている草に興味を持つことは、非常に良くあることで、それが異食や病気や何かしらの異常に結びついているとは限りません。時々、「犬たちのお気に入りの草は雑草だと思ったらハーブだった!」なんて発見もあったりして、子どもの頃の理科の学習気分で楽しめることも。
ただ、犬たちと暮らしている方ならご存知の通り、道路沿いに生えている植物には除草剤が撒かれていたり、犬たちにとっては毒となる植物もありますので、犬たちが興味を持った植物をきちんと観察して場合によっては止めることも必要です。