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2019.07.02

夏野菜・モロヘイヤの犬に嬉しい栄養と手作り食に取り入れる際のポイント

夏野菜・モロヘイヤの犬に嬉しい栄養と手作り食に取り入れる際のポイント

夏に旬を迎える美味しい野菜のひとつ、モロヘイヤ。アフリカ原産とされるこの野菜の歴史は古く、古代エジプトではもうすでに王家の人間が病気になった際にも食べられていたことが分かっています。"モロヘイヤ"という名前もアラビア語で「王家のもの」という意味から来ているのだそうです。とっても貴重な野菜だったことが分かりますね。

さて、このモロヘイヤですが犬たちにも嬉しい機能性成分が含まれていることが分かっています。正しく調理して、手作り食に取り入れるなど犬たちと一緒に美味しい栄養を楽しんでみてはいかがでしょうか。

抗酸化作用のβカロテンやビタミンEが豊富な葉野菜

夏になると強い紫外線によって、眼や皮膚に紫外線がダメージを蓄積させます。強い紫外線は、犬たちの眼に白内障などの症状と関係があると見られています。
抗酸化作用のあるβカロテンやビタミンEなどの成分は、細胞を酸化させる"活性酸素"を取り除くと言われています。夏の紫外線でダメージを受けた体を労わったり、年齢による酸化のスピードを抑制してくれるかもしれません。

また、葉酸も豊富なモロヘイヤは、細胞の合成に関係する栄養で妊娠中の母犬に必須の栄養素です。また、貧血の予防にも役立つといわれています。もちろん、葉物野菜ですので食物繊維もたっぷりです。

モロヘイヤなどの野菜に含まれるシュウ酸について。

また、モロヘイヤに含まれているシュウ酸カルシウム結晶の原因となるシュウ酸が含まれているため、避けたほうがいいと思われる方も多いかもしれません。しかし、シュウ酸はサツマイモやキャベツ、ブロッコリーにも含まれていますし、シュウ酸カルシウム結晶は調理方法や食べ合わせの工夫で十分対策が可能です。

モロヘイヤのようなシュウ酸を含む野菜は、約3分しっかりと茹で、冷水にさらすことで食品中の約半分のシュウ酸を取り除くことが可能です。モロヘイヤなどの野菜に含まれているシュウ酸は水溶性のため、茹で汁やさらした水にシュウ酸が流れ出ていきます。

また、食事によって体内に取り込まれたシュウ酸は消化管の中でカルシウムと結合し、消化器系の中でシュウ酸カルシウムになります。シュウ酸カルシウムになってしまうと、腸からは吸収ができないためそのままウンチとして排出されます。シュウ酸とカルシウムがバランスよく摂取されている状態であれば、過剰にシュウ酸だけが吸収され尿中のシュウ酸が増えたことで結晶化することはあまりありません。
おいしい夏野菜のモロヘイヤは3分以上茹でたり焼いたりして調理し、ときにはその夏の栄養を利用したいですね。

DOG's TALK

シュウ酸カルシウム結晶の原因としては、シュウ酸の過剰摂取とカルシウムの摂取制限があります。また、高脂肪食を与えていると、過剰に摂取した脂肪とカルシウムが結合してしまい、シュウ酸だけが腸から吸収され、尿中のシュウ酸の値が高くなったりすることもあるようです。
ストルバイト結晶用の療法食の中には、尿を酸性化させるためにカルシウムのバランスが低く作られているものがあります。長い間ストルバイト結晶用の療法食を続けていると、シュウ酸とカルシウムのバランスが崩れ、シュウ酸カルシウム結晶を引き起こすこともあるようです。
シュウ酸カルシウム結晶を防ぐためにも、さまざまな食材からバランスよく栄養を摂取していくことが重要です。どんな栄養でも、過剰に摂りすぎると犬たちの体にも良くないことは同じですね。

おわりに

とろっとネバネバが美味しいモロヘイヤを犬に食べさせる時のメリットと注意点、そしてシュウ酸カルシウム結晶についてご紹介しました。
モロヘイヤにはシュウ酸が多く含まれることから、「与えてはいけない」という意見もあるようですが、しっかりと茹でることで過剰なシュウ酸を流すことが出来るので、与えすぎない限りは食べさせることが出来ます。犬の手作り食やトッピングに挑戦する際には、特定の栄養が過剰になったり、逆に少なすぎるなどに偏ってしまわないようにバランスを心がけていきたいですね。

犬にとって体にいいとされる成分であっても、過剰に与えることでさまざまな影響が出るケースもあります。どんなものであっても、適度に美味しく楽しむようにしていきたいですね。