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2020.01.09

ビール酵母を犬に与えるメリットとは?与える時のポイントまとめ

犬たちの食事、ドッグフードの原材料を見ていると、よく「ビール酵母」という材料を見かけます。おなじみのビールを製造する際に必要不可欠な酵母なのですが、このビール酵母はなぜドッグフードやサプリメントに使用されることがあるのでしょうか?何かメリットがあるのでしょうか?また、ビール酵母を犬たちに与える際に改めて気を付けておきたいポイントはあるのでしょうか?
「そういえば、どうだったっけ?」といった、ちょっとした時に振り返りたいポイントをまとめてご紹介しています。

ビール酵母は犬にとってどんなメリットがあるの?

必須アミノ酸10種類を効率的に摂取できる
犬たちが体内で作ることが出来ないため、食べ物などから摂取することが必要なアミノ酸を必須アミノ酸と言います。犬の必須アミノ酸は、全部で10種類あります。
これらの必須アミノ酸は、10種類のうちで最も摂取量が少ないアミノ酸に合わせた量だけが体内で使用されるという「アミノ酸の桶理論」という法則が存在しています。(参考:【獣医師コラム】アミノ酸スコアから考える、犬にはどんなタンパク質をあげるべき?)
そのため、必須アミノ酸10種類をそれぞれ網羅的に摂取できる食材を「アミノ酸スコアが高い食材」と言います。
ビール酵母はアミノ酸スコアが高く、犬にとっての必須アミノ酸10種類をすべて含んでいるため、効率的にアミノ酸を体内で使えるようにするために使用されることがあります。豊富な種類のアミノ酸を摂取できることがビール酵母のメリットの一つとなっています。


加齢に伴い不足しがちになる核酸を含んでいる
犬たちの体は数えきれないほどの細胞分裂を繰り返していますが、その細胞分裂に際して必須の物質が核酸という栄養素。
細胞の設計図としておなじみのDNA(デオキシリボ核酸)と、細胞を組み立てるのに必要なRNA(リボ核酸)が核酸です。若い犬であれば、体内で十分に作ることが出来るのですが、犬たちが年齢を重ねるごとに核酸を合成する力も徐々に衰えていきます。代謝のサイクルが早い器官や組織を健康的に保つためには、核酸が十分であることはとても大切です。
酵母は重量あたりの核酸が多く、食事やサプリメントで不足しがちになったぶんを補うのに、手軽で身近なビール酵母が使用されることが多いようです。


整腸作用が期待できる
ビール酵母には、お腹の調子を整える腸内細菌の助けとなる栄養が含まれています。(ビタミンB1・B2・B6、アミノ酸、核酸、食物繊維など)そのため、整腸作用があり犬たちのウンチの状態が悪い時に与えることで、良いウンチを作る助けになります。
いわゆる腸内細菌に働きかけるプロバイオティクスとしての働きを期待されているということですね。
栄養補給やエイジングケアだけではなく、お腹の調子を整える嬉しい原材料として活用されているのがビール酵母なのです。

ビール酵母を与える際の注意点はないの?

ビール酵母はビールを醸造する際に使用されるもので、人間用・動物用共通してビール醸造の副産物として作られています。
醸造の過程で麦汁をアルコールと炭酸ガスに分解し、役目を終えた酵母菌を乾燥させて作っているので、犬たちの体に摂取される時にはすでに死菌の状態で、体内で反応することなどはありませんし、酵母自体にアルコール分が含まれていることはありません。

また、小麦などにアレルギーがある犬たちであってもビール酵母を与えることは問題ありません。酵母そのものが含んでいるタンパク質と小麦のタンパク質は別物なので、小麦アレルギーにビール酵母が反応することはないと考えられています。しかし、ビール酵母そのものにアレルギー反応が出るケースが稀にあるようです。ビール酵母を与えた後にかゆみが出たり、脱毛するなどの症状がみられた場合はビール酵母にアレルギーがあることがあります。与えた後に様子がおかしい、と感じたら獣医師さんに相談してみてくださいね。

おわりに

本日は犬に与えることがあるビール酵母のメリットについてご紹介しました。ビール酵母には犬にとって嬉しい成分が含まれていることが分かりました。犬にとっての必須アミノ酸をすべて含んでいたり、核酸を含んでいたりと、ほかの原材料とは違った個性を持っているのがビール酵母なのです。