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2021.07.14

犬にとってのタウリンとは?どんな栄養なの?心臓病との関係は?

犬にとってのタウリンとは?どんな栄養なの?心臓病との関係は?

犬の健康維持のために食事の栄養バランスを気にかけている人は多いですよね。タンパク質は足りているか、脂質は多くなりすぎていないかなど、栄養面を意識したドッグフード選びをする方も増えています。

でも犬の食事や栄養管理について調べている内に、「これって本当かな?」とか「これってどういうこと?」と疑問に感じるような情報を見かけることはありませんか?
内容が分かりにくかったり、解釈が大きく違う情報が入り乱れていて、混乱してしまうことも。

本日は、そんな「ちょっと分かりにくい栄養の話」の中から、タウリンと犬の健康についてご紹介します。
タウリンってどんな栄養?犬の体内でどのように使われるの?など、基本的なことからペット栄養管理士と一緒にチェックしていきましょう。

タウリンってどんな栄養?

タウリンは、シスチンなどの含硫アミノ酸(硫黄を含むアミノ酸)から作られる栄養素のひとつです。
犬も人間も体内で合成する能力を持っていますが、犬は人間と比較すると体内でタウリンを合成する力は低く、食事から補う必要がある、あるいはタウリンの合成に必要な含硫アミノ酸を十分に摂取するなどして、サポートする必要がある栄養素です。

タウリンは肉や魚に多く含まれていて、中でもとくにカキ(牡蠣)やあさり、しじみ、ほたてなどの貝類や、タコ、マグロの血合いなどに多く含まれています。
野菜やフルーツにはほとんど含まれていません。

また、タウリンは水溶性の特長を持っていて、水に溶けだす性質があります。あさりやしじみでとっただし汁にもタウリンがたっぷり含まれていますので、これらのスープから補給することができる栄養素です。

タウリンをたくさん摂取したとしても、水溶性のため不要な分をそのまま尿として速やかに排出することができます。


タウリンはアミノ酸に近い栄養素と呼ばれることがありますが、タンパク質の合成に影響しないことからアミノ酸とは別の栄養素として分類されることが多いです。

犬の体内でのタウリンの働きとは?

犬の体内で、タウリンは以下のような働きを持っています。

 


【代表的なタウリンの働き】

・血圧を正しく維持する。
・肝臓の解毒能力を維持する。
・血糖値のコントロールに必要なホルモン・インスリン分泌に関係する。
・視力の衰えを防ぎ、健康的な脳や網膜の発育を維持する。
・心臓の収縮運動に関係する。


体内のさまざまな器官で重要な役割を持っていることが分かります。
とくに犬の健康維持では、食事から十分なタウリンが摂取できないことで肝臓や視力、心臓の健康維持に影響が出ることが分かっています。
また、近年では犬の心臓病とタウリンの関係性について注目が集まっているようです。

■犬の心臓病とタウリンの関係とは?

タウリンは、犬の心臓が収縮するときに大きな働きを担っていることが分かっています。心臓は筋肉の塊のような臓器ですが、心臓の筋肉が収縮・拡がるとき、その調整をタウリンが担っています。
実際、動物の心臓にはたくさんのタウリンが含まれています。

犬においては、タウリンが不足した状態が続くと拡張型心筋症、不整脈のリスクが高くなることが分かっています。
犬の心臓の健康維持においては、タウリンは非常に大切な栄養素とされていて、心臓病の治療などではタウリンの摂取量を意識した食事が処方されることもあります。

ただし、心臓にトラブルがある犬なら、とにかくタウリンを摂取すればよいのか、というとそうではありません。
心臓病の食事療法には、体重管理やナトリウムなど、ほかの要素も関係しますので、心臓に不安がある犬に安易にサプリメントなどを使ってタウリンを多く与えようとはせず、動物病院で適切な食事の指導を受け、従うようにしてください。

おわりに

犬にとってタウリンは、視力の健康維持、心臓の収縮などに関係する栄養素のひとつです。
肝臓や血糖値、血圧などにも関係している栄養素で、不足することで犬の体内のさまざまな部分に影響が及ぶと考えられています。
とくに最近では拡張型心筋症に代表される心臓病とタウリン不足の関係が注目されていて、療法食においては、心臓などの循環器系のサポートを目的としてタウリンの摂取量をコントロールする療法食が使用されることもあるようです。
最近のプレミアムドッグフードの中には、シニア犬の健康維持のために意識的にタウリンを配合しているものもあるようです。

過剰に摂取しても不要な分は尿として排出されるとはいえ、多く摂取すれば良いというものではありません。
現在でもタウリンと心臓病の関係についての研究は続けられている最中ですし、心臓のトラブルに悩む犬にタウリンを豊富に含むサプリメントなどを使用する際には、動物病院で相談したうえで使用を判断した方が安心です。