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2022.07.27

ビオチンとは?どんな時に摂取する?犬の健康との関係について

ビオチンとは?どんな時に摂取する?犬の健康との関係について

食材にはさまざまな栄養が含まれています。それらの栄養について知ることで、犬の健康管理に役立つときがあります。
なんとなく、名前は聞いたことはあっても「どんな食材に含まれるの?」「どんな時に取り入れるべき?」「体内でどんな働きをするの?」と疑問に感じる栄養素がありますよね。
今回は、そんな栄養素の中から「ビオチン」について調べてみました。犬の健康とビオチンの関係についてご紹介いたします。

DOG's TALK

この記事を書いた人:POCHIのペット栄養管理士 岡安

ペット栄養管理士です。犬ぞりやフリスビーなど、犬とできるアクティビティが好き。大型犬を見るとテンションが上がります。

ビオチンってどんな栄養?

ビオチンは、犬にとって食事から摂取する必要がある必須ビタミンの一種です。水溶性のビタミンで、ビタミンB7やビタミンHなどという別名を持っています。もともと、酵母の成長を促進させる研究中に発見され、やがて卵黄から抽出できることが判明しました。

ビオチンは犬を含むすべての生物にとって必須の栄養素で、自ら作ることが出来るのは一部の微生物やカビ、植物に限られています。多くの生き物はこれらの微生物や植物、そしてそれを食べた動物からビオチンを補っています。食品などの中に自然に存在しているビオチンの多くは、タンパク質と結合している状態なので、体内でタンパク質が分解されて取り込まれています。

体内でビオチンは、グルコース(ブドウ糖)や脂肪酸、一部のアミノ酸の代謝において、補酵素として働き、エネルギーを作ったり細胞の再合成の際に使用されています。(補酵素とは、特定の酵素が働く際に必要な栄養素)
ビオチンが不足していると、犬は糖・脂質・タンパク質のそれぞれの栄養を十分にエネルギーに変えることができません。
また、ビオチンはアミノ酸から細胞を再合成する際にも非常に重要な役割を担っています。

ビオチンを含む代表的な食材として、きのこ類、肉類、種実類、卵類、魚介類などがあります。

犬の健康とビオチンの関係

エネルギー代謝や細胞を合成する際に必要となるビオチンですが、不足してしまうとどのような影響が出るのでしょうか?

ビオチンは細胞を新しく作る時に必要な栄養なので、ビオチンが不足すると細胞の入れ替わりのサイクルが早い皮膚や粘膜、被毛の健康維持に影響するといわれています。
具体的には、慢性的な皮膚炎やアトピー性皮膚炎、かゆみや赤み、脱毛などが出やすいタイプの犬ではしっかり摂取することが推奨されています。
また、粘膜の健康維持にも関係していますので消化器系や免疫の健康維持にも間接的に関係しているといわれます。

必須栄養素であるビオチンですが、一部は犬や私たち人間が持っている腸内細菌が合成することによっても供給されています。
腸内環境を整えることが免疫系や腎臓にも嬉しい効果があることは知られていますが、ビオチンを安定的に摂取するためにも腸内細菌は重要です。

犬の腸内細菌の働きが低下していると、ビオチンも不足しやすい傾向にあります。

犬に卵を与えるときのポイントとビオチンの関係

犬に生の卵を食べさせてはいけない、という意見を見たことがある人もいると思います。実はこの意見の根拠にも、ビオチンが関係しています。卵の中でも卵白には、タンパク質の「アビジン」という成分が含まれています。
アビジンがビオチンと結合すると、犬がビオチンを含む食材を食べたとしても、ビオチンを十分に吸収できなくなってしまうのです。
そのため、生の卵白だけを食べ続けると、食材や腸内細菌が作ったビオチンを十分に吸収できなくなり、欠乏症を引き起こす可能性があります。

しかし、卵の白身と黄身を一緒に与えれば、卵黄には多量にビオチンが含まれるため、犬の体の中で少々吸収が阻害されたとしても供給量が上回り、アビジンの影響は抑えられるといわれています。
また、卵白に含まれるアビジンは加熱するとビオチンと結合しなくなりますので、犬に卵を与えるときは「全卵」あるいは「加熱」という2つのポイントを押さえておきましょう。

どんなときにビオチンを取り入れるべき?

〇アトピーに長く悩んでいる
〇皮膚の赤みやかゆみ、脱毛がみられる
〇おなかの状態が不安定
〇抗生物質を与えている
〇好き嫌いが激しく、栄養バランスの偏りが気になるとき

おわりに

今回は犬の健康に役立つ栄養として、ビオチンについてご紹介いたしました。ビオチン自体は犬が体内で作ることができない必須ビタミンの一種ですが、健康的な犬では一部を腸内細菌が合成することでフォローしています。
ただし、腸内環境が乱れていたり、抗生物質を長く与えていると腸内細菌の働きが不十分となり、ビオチンが不足することがあります。安定的にビオチンを摂取させることを考えるなら、やはり重要となるのは食事から十分に摂取できるように食事の栄養バランスはとても大切になります。
トッピングとして卵は手軽に使えますが、与えるときには全卵、そして加熱してから与えることが推奨されています。