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2022.09.26

犬にも日焼け対策が必須!NZの紫外線事情とは? ~南半球のDog's letter~

犬にも日焼け対策が必須!NZの紫外線事情とは? ~南半球のDog's letter~

DOG's TALK

この記事を書いた人:グルービー美子

この記事を書いた人:グルービー美子

ニュージーランド・オークランド在住のトラベルライター。JAL機内誌やガイドブック「地球の歩き方」などに寄稿。子供の頃から柴犬と暮らし、現在はサビ猫のお世話係。趣味はサーフィン。

■ニュージーランドに降り注ぐ紫外線は日本の約7倍?!

南半球に位置するニュージーランドは、日本とは逆にこれから夏へと向かいます。サマータイムを採用しており、12月中旬から1月中旬のミッドサマーは日没が夜9時過ぎに。
日が長くて仕事の後も屋外でたっぷり遊べるため、夕方から犬を連れて森や海へ出かける人も少なくありません。

ニュージーランドの日差しは強烈。オゾン層の破壊が原因ともいわれています。

ニュージーランドの日差しは強烈。オゾン層の破壊が原因ともいわれています。

そんな楽しい夏に重要なのが日焼け対策。ニュージーランドはオゾンホールの影響で紫外線が強く、一説には日本の約7倍ともいわれてるほど。紫外線を主な原因とする皮膚がん・メラノーマ(悪性黒色腫瘍)はこの国のがん患者全体の80%を占め、大きな問題となっています。

そのため、ニュージーランドでは「紫外線は危険なもの」という認識が広く浸透しています。幼い頃から日焼け対策は必須で、小学校では教室に自由に使える日焼け止めが置かれ、外に出るときは必ず塗るように教師から指導されるとか。子どもや敏感肌用の低刺激な日焼け止めもあり、生後6カ月未満の赤ちゃんはサンシェード付きのベビーカーに載せて移動するよう推奨されています。

日焼け止めだけでこの種類!NZの人々にとって紫外線対策はとても身近なものです。

日焼け止めだけでこの種類!NZの人々にとって紫外線対策はとても身近なものです。


夏の日中には11段階のUVインデックスで最も危険度の高い11+を毎日のように記録。外出時に日焼け止め、帽子、サングラスは欠かせません。
スーパーやドラッグストアには専用コーナーがあり、1年中日焼け止め用品が商品棚に並んでいます。

 

■犬の日焼け対策とは?

サーフィンや海水浴などの犬連れレジャー時には犬も紫外線対策をします。

サーフィンや海水浴などの犬連れレジャー時には犬も紫外線対策をします。



毛が薄いお腹周りなどは重点的に対策を行います。

毛が薄いお腹周りなどは重点的に対策を行います。


では、犬や猫などの動物にも日焼け対策は必要なのでしょうか? 

獣医師の友人に尋ねたところ、ニュージーランドで犬の皮膚がんの発生率は優位に高いわけではないとのこと。しかしピンクの鼻を持つような色素の薄い犬やヘアレスドッグ、シングルコートで被毛が淡い色の犬は強烈な紫外線の影響を受ける可能性があり、注意するように促しているとか。
とりわけ日焼けしやすいのは耳、鼻まわり、腹部など。飼い主に犬も日焼け止めを使用するよう薦めていると話してくれました。

 



市販されている犬用日焼け止めの一例。左はAniwell社のFiltaBac®

市販されている犬用日焼け止めの一例。左はAniwell社のFiltaBac®

人間の日焼け止めには酸化亜鉛などの成分が含まれているため、犬専用のものも販売されています。
ニュージーランドではいくつものペットメーカーが犬に使える日焼け止めを扱っており、ペットショップや動物病院で手に入ります。

そのうちのひとつ、Aniwell社のFiltaBac®は医薬品企業の獣医薬理学研究部と共同開発し、1970年に誕生した歴史ある動物用の抗菌スキンクリーム。
政府の第1次産業省に認可されており、もともとの用途は牛や羊の日焼け対策やケガした際の軟膏薬。犬だけではなく、家畜にも幅広く使え、SPF24から27の効果があると謳われています。

羊は毛がもこもこしているので日焼けしなさそうなイメージでしたが、犬と同様に顔まわりなどの毛が少ないところは紫外線トラブルを起こしやすいのだそうです。

 

 

■水遊びの際は犬用ラッシュガードを

ニュージーランドは犬も飼い主も水遊びが大好き。海や湖で遊ぶ犬の姿は日常的です。

ニュージーランドは犬も飼い主も水遊びが大好き。海や湖で遊ぶ犬の姿は日常的です。

犬用ラッシュガードは犬の体格に合わせて種類も豊富。

犬用ラッシュガードは犬の体格に合わせて種類も豊富。


島国ニュージーランドにはビーチ好きな人が多く、犬も飼い主につられて水が好きになる傾向があるように思います。

ペットショップには犬用のライフジャケットやラッシュガードが販売されており、水遊びの機会が増える夏に大活躍。
ラッシュガードは手洗いできてすぐに乾き、保温効果・日焼け対策にもってこい。
ニュージーランドやオーストラリアで定められたUVカット基準の最高値50+を獲得している商品もあり、擦り傷や被毛の中に砂が入り込むのを防ぐ効果も期待できるので獣医師会でも着用を勧めています。

ちなみに先の獣医師の話では皮膚がんは犬よりも白猫によく見られるとのこと。
特に耳と鼻は日焼けのダメージで浸潤がんに移行しやすいとか。
耳にできたがんは手術で切除が可能ですが、鼻に浸潤するとかなりやっかいなことに。ニュージーランドでは人もペットも家畜も日焼け対策を徹底するべきというのが共通認識になっています。



夏はライフガードがその日のビーチコンディション、注意事項などをボードに書いてビーチの入口に掲示。「波が高いので遊泳には不向き」「帽子、日焼け止め、サングラス、日よけを用意するように」「犬を車の中に置いたままにしないように」などが書かれています

夏はライフガードがその日のビーチコンディション、注意事項などをボードに書いてビーチの入口に掲示。「波が高いので遊泳には不向き」「帽子、日焼け止め、サングラス、日よけを用意するように」「犬を車の中に置いたままにしないように」などが書かれています

DOG's TALK

日本でも年々紫外線が強くなっているような気がします。いずれ、ニュージーランドと同じように犬も日焼け対策をするのが当たり前になっていくのかもしれません。