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2023.10.25

職場の犬を称えよう。NZのトップドッグ・アワードとは?~南半球のDog's letter~

職場の犬を称えよう。NZのトップドッグ・アワードとは?~南半球のDog's letter~

世界の様々な地域に順応して暮らしている犬たち。
ところ変われば犬とのライフスタイルも変わります。日本とはちょっと違う?共通してる?目新しいドッグライフ情報を、自然豊かな南半球に位置するニュージーランドからお届けします。

犬と人間が協力して働く場所が比較的多いニュージーランド。羊の国、なんて呼ばれるほど牧畜が盛んで、牧羊犬をはじめとした犬たちは、今でも現役で働いていますが、それ以外にもいろいろなお仕事犬が活躍中です。
これまでもポチではそんな「職場の犬たち」を取り上げてきましたが、この国では働く犬だけではなく、オフィスのみんなを笑顔にする「オフィスにいる犬」も多くの企業などで受け入れられているそうです。
先日そんな職場の犬たちを称えるアワードが開催されたそうです。

今回は、職場にいる犬たちに拍手を送る『トップドッグ・アワード』についてお届けします。

DOG's TALK

この記事を書いた人:グルービー美子

この記事を書いた人:グルービー美子

ニュージーランド・オークランド在住のトラベルライター。JAL機内誌やガイドブック「地球の歩き方」などに寄稿。子供の頃から柴犬と暮らし、現在はサビ猫のお世話係。趣味はサーフィン。

オフィスドッグを対象としたアワード

犬たちがいることのメリットを考慮し、職場で保護犬を受け入れたり、スタッフが犬を連れて出勤できるようにしたり。さまざまな形で「オフィスに犬」を実現しています

犬たちがいることのメリットを考慮し、職場で保護犬を受け入れたり、スタッフが犬を連れて出勤できるようにしたり。さまざまな形で「オフィスに犬」を実現しています

日本でも少しずつ増えつつあるペット同伴出勤可の会社。
さまざまなリサーチにより、オフィスに犬などの動物がいると社員のモチベーションが上がり、ストレスが軽減されたり生産性が向上したりすることが世界的に証明されています。

今回はそんなオフィスドッグと呼ばれる職場の犬たちを対象としたニュージーランドのアワード「NZトップドッグ」をご紹介。
同アワードは、オーストラリア・ニュージーランド・イギリスで展開する就職支援企業フロッグ・リクルートメントが主催しています。
担当のレミ・マーセリンさんに話を伺いました。

回を重ねるごとに盛り上がる大会

働く人々の心を和ませたり、笑顔にするのも、人類の友である犬たちの立派な功績です。

働く人々の心を和ませたり、笑顔にするのも、人類の友である犬たちの立派な功績です。

「1年に1回行われているこのアワードがスタートしたのは2015年。オフィスドッグがもたらすポジティブな側面、特にメンタルヘルスへのよい影響について焦点を当てるために企画されました」

当初は知り合いに声をかけるレベルの小規模なものでしたが、話題を呼んで年々規模が拡大。
現在ではオフィスドッグのみならず、リモートワーカーをサポートする犬も対象となったほか、働く犬のカテゴリも設けられています。

2023年度のNZトップドッグは7月にエントリーを開始し、8月中旬まで一般投票および審査が行われ、8月23日に結果が発表されました。
ニュージーランド全国から約400頭の応募があり、SNSでのインプレッション(閲覧)は400万以上を記録。一般投票数は2万3000以上に上ったそうです。
また、求人情報サイトのインディードと、ニュージーランド各地で展開するペットフレンドリーのホテルチェーンであるジェットパーク・ホテルズが今年度の大会スポンサーとなりました。

2023年度のトップドッグはこちら!

大きな重機も乗りこなすテリィ。そこで働く人々と同じような真面目で無骨な職人気質?

大きな重機も乗りこなすテリィ。そこで働く人々と同じような真面目で無骨な職人気質?

今年度のNZトップドッグでオフィスドッグ部門の1位に輝いたのは、北島タウポに暮らすテリアのテリィ。
彼の職場は採石場で、出勤するとまずはサイト内に動いている車両がないかどうかをチェック。
さらに夜間に侵入したポッサムやウサギといった動物がいた場合はそれらを追い出す任務もあるそう。
ほかにも取引先などの訪問者をもてなすなど忙しく、飼い主さんは「テリィは働き者なので、最近アシスタントマネージャーに昇格したよ」と笑います。

 

ハンディキャップを負っても、働く意欲を捨てなかったウインク。現在も誰かの役に立つことに喜びを感じています

ハンディキャップを負っても、働く意欲を捨てなかったウインク。現在も誰かの役に立つことに喜びを感じています

働く犬部門で1位に選ばれたのは、南島インバーカーギルに住むヘディングドッグのウィンク。
農作物や環境に有害な虫や生物を見つける探知犬です。
彼の専門は干潟や湿地に生育するイネ科の植物スパルティナの匂いを嗅ぎ分けること。
スパルティナは繁殖力が非常に強く、生態系を破壊する危険があるため駆除対策が行われているのです。

ウィンクはもともと牧羊犬でしたが、目を患って仕事ができなくなってしまったそう。
しかし優れた嗅覚を活かして認定資格を取得し、見事転職に成功。
飼い主さんとともにニュージーランド全土へ出張しながら働き、自然保護に尽力しています。

 

モテモテのハンサムボーイのボーですが、それはオフィスでも同じようで…。ボーの笑顔を見ていると不思議と心が和みます

モテモテのハンサムボーイのボーですが、それはオフィスでも同じようで…。ボーの笑顔を見ていると不思議と心が和みます

一般投票によって決まるピープルズ・チョイスを制したのは南島ダニーデンのボーダーコリーのボー。
とても活発でアジリティやトリックなどのドッグスポーツが大好き。
冬は犬ぞりレースでも活躍するボーですが、誰に対してもフレンドリーで、オフィスでも街中でもボーに会った人は皆彼に恋をしてしまうとか。
「特に子供にはすごく優しくて、犬を怖がる子供でもボーには抱きついて離れないんだよ」と飼い主さん。

 

さまざまな地域のさまざまな職場で愛される犬たち。
レミさんは「犬の数だけ物語があって、犬がオフィスをよりよい場所にしてくれる。
来年の開催が今から待ちきれません」と話してくれました。