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2024.04.10

惜しみない愛情でメンタルをサポート。NZの"コンパニオンドッグ"とは?~南半球のDog's letter~

惜しみない愛情でメンタルをサポート。NZの

世界の様々な地域に順応して暮らしている犬たち。
ところ変われば犬とのライフスタイルも変わります。日本とはちょっと違う?共通してる?目新しいドッグライフ情報を、自然豊かな南半球に位置するニュージーランドからお届けします。

多くの犬が人間のお手伝いをして"働く犬"として活躍しているニュージーランド。

今回ご紹介するのは、一般の家庭で活躍する"コンパニオンドッグ"と呼ばれる犬たちです。
「コンパニオンドッグって、聞いたことがあるような…」と思われた方もいるかもしれませんが、ニュージーランドのコンパニオンドッグは、これまで知られていたコンパニオンドッグとはちょっと違うかもしれません。
働く犬と言っても、人の役に立つ方法は一つじゃないんだなぁ…と改めて学びになりました。

今回は、優しくて家族が大好きな犬たちが、そっと寄り添ういくつかの家族の物語です。

DOG's TALK

この記事を書いた人:グルービー美子

この記事を書いた人:グルービー美子

ニュージーランド・オークランド在住のトラベルライター。JAL機内誌やガイドブック「地球の歩き方」などに寄稿。子供の頃から柴犬と暮らし、現在はサビ猫のお世話係。趣味はサーフィン。

一般的な家庭犬とは異なるコンパニオンドッグ

ニュージーランドの介助犬協会「モビリティードッグス」。
肢体に障がいを持つ人をサポートするモビリティードッグ(介助犬)、病院や学校などで患者に寄り添うセラピードッグの2種類をメインに育成していますが、もう1種類、コンパニオンドッグと呼ばれる働く犬も輩出しています。
コンパニオンドッグを和訳すると家庭犬ですが、同協会が育てているのは一般的な家庭犬とは異なります。
どのような役割を果たしているのか、モビリティードッグスで話を伺ってきました。

家族のメンタルケアを担う犬

家族の心を優しくサポートする、コンパニオンドッグたちの笑顔には不思議な力があります

家族の心を優しくサポートする、コンパニオンドッグたちの笑顔には不思議な力があります

「コンパニオンドッグは感情のサポートを必要とする人とその家族のヘルパーとして働く犬のこと。
介助犬はパートナーと1対1で仕事をしますが、コンパニオンドッグはひとつの家庭を丸ごとサポートします」
同協会のペニー・ホワイトさんはそう説明してくれました。
家族の中に自閉症やアスペルガー症候群といった健康上の障がいを持つ人がいる場合、コンパニオンドッグがメンタルヘルスの手助けをするそうです。

「コンパニオンドッグは惜しみない愛情を与えて人の心を落ち着かせ、不安を和らげます。それによって自分に自信が持てるようになったり、学校や社会生活をスムーズに送れるようになったりという効果が報告されています」

他の介助犬同様、高度な訓練を受けて認定された犬だけがコンパニオンドッグになることが可能。
ただし介助犬が電車やバス、スーパーマーケットといった公共の場に自由に出入りできるのに対し、コンパニオンドッグにはその権利がないそう。
家庭で家族のメンタルヘルスを守るのが彼らの役割なのです。

コンパニオンドッグのおかげで通学できるように

サムくんとセドリックはいい友達。サムくんが社会とつながるきっかけにもなってくれました

サムくんとセドリックはいい友達。サムくんが社会とつながるきっかけにもなってくれました

現在、ニュージーランドで働くコンパニオンドッグの数は7頭ほど。
数は少ないものの、利用者からは喜びの声が寄せられています。

その一例が、複数の障がいを抱えるサムくんとその家族のもとに、2022年に送られたセドリック。
セドリックの存在は偉大で、不登校だったサムくんが学校に通えるようになったとか。

「サムの学校の校長先生は、セドリックが校庭に入ることを許可してくれました。セドリックは学校のほかの子どもたちにも大人気で、サムが友人を作るきっかけにもなってくれます」
サムくんの母親のフランシーヌさんはそう嬉しそうに話します。

「セドリックと一緒にベッドで寝るようになってから、サムは夜中に何度も起きることがなくなりました。また、セドリックは家族の間ではピエロのようにおどけて振舞って、サムを笑わせてくれます。サムは外出するのが困難だったのに、セドリックとは喜んで外に行きたがります。セドリックが来てくれて本当によかったと感謝しています」

コンパニオンドッグの存在で生活が一変

ダニーがやってきたことで、キエランさんの世界が大きく広がったそうです

ダニーがやってきたことで、キエランさんの世界が大きく広がったそうです

コンパニオンドッグは子どもだけではなく成人にも有効です。
17歳のときに自閉スペクトラム症と診断され、治療を受け続けている23歳のキエランさんとその家族は、コンパニオンドッグのデニーと出合って生活が一変しました。
「ダニーを迎えて以来、ダニーがどれほど私たち家族に幸せを与えてくれ、ストレスレベルを軽減してくれたか、説明するのが難しいほどです」
そう語るのは、キエランさんの母親のロシェールさん。

キエランさんはそれまでほとんど自室にこもりきりで誰とも話したがらなかったそうですが、ダニーが来てからはダニーの世話をするために部屋を出て、散歩にも積極的に出かけるようになったといいます。
「ダニーとよくおしゃべりするようになり、来客など人間とも話すことができるようになりました。以前はキエランを外に連れ出すのはとても大変でしたが、ダニーと一緒だと旅行にも喜んで出かけるんです」

 

ダニーは介助犬の訓練を受けているため、ドアの開け閉めやキエランさんの靴下を脱がしたりすることもできます。
キエランさんはこうしたコマンドをダニーに出して、ダニーがそれを忠実に行う様子を見て楽しんでいるそうです。
「ダニーのおかげでキエランは自分の殻から出てくることができました。キエランと私たち家族の関係もよくなりました。ダニーを迎えたことは私たち家族にとって最良の選択といえます」
犬の持つ力の大きさに改めて気づかせてくれるコンパニオンドッグ。今後ますますその活躍が期待されています。

 

サポートが必要な人とその家族を笑顔にする、そんなお仕事の形も素敵ですよね

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