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2024.10.31
【管理栄養士が解説】ドッグフードに使用される魚の栄養素の違いは?ポイントを紹介
ドッグフードはチキンやラム、ビーフなどの肉類のほか、サーモンや白身魚を主原材料にした商品が販売されています。
その中で魚をメインに使用したドッグフードならではの栄養のポイントがあります。
本記事では、管理栄養士がドッグフードに使用される魚の栄養素について解説します。
選ぶときのポイントも紹介するので、ドッグフード選びの参考にしてみてください。
ドッグフードに使用される魚とは?
チキンやビーフ、ラムなどの肉類のほか、魚をメインに使用するドッグフードも多いです。
しかし、肉類に比べ魚を使うドッグフードは種類が少なく、フィッシュ、魚介類などと魚種が明確でない場合もあります。
ドッグフードで多く使用される魚には次のようなものがあります。
代表的なドッグフードに使用される原材料である魚としては、サーモン、ニシン(へリング、メンハーデン)白マス、タラのほか、カレイやマグロ、カツオなど聞き馴染みのある魚が生で使用されることや、魚油、ミールといった加工品が使用される場合もあります。
魚種によるドッグフードの栄養素の違い
ドッグフードに使用される魚の種類によって、どのような違いがあるのでしょうか?
代表的な違いとしては、栄養面での違いがあります。
魚は、色素タンパク質の違いにより赤身魚、白身魚と分類され、一般的に背が青く回遊性のある魚を青魚と呼びます。
含有成分で判断される赤身魚、白身魚と異なり、青魚は明確な定義はないものの、それぞれの魚には特徴的な栄養素の違いがあります。
■筋肉維持をサポートする赤身魚
赤身魚は、筋肉や血液の色素タンパク質であるミオグロビンやヘモグロビンを多く含む魚で、マグロやカツオが代表的です。
高タンパク、低脂肪であることが特徴的で、貧血予防や筋肉維持に役立ちます。
犬の筋肉の成長や健康的な体の維持、怪我や病気からの回復を重視したいときにおすすめです。
とくに、成長期の子犬や活動量が多い犬のエネルギー補給をサポートします。
低脂質なため、肥満リスクのある犬にも試しやすいでしょう。
■キレイな毛並みに役立つ?白身魚
白身魚は、赤身魚に比べ色素タンパク質が少ない魚で、サーモンやタラ、ヒラメ、スズキが代表的です。
一般的に、タラやヒラメ、スズキなどは高タンパクで低脂質、栄養バランスが良いことが特長です。
白身魚の中でもサーモンの脂質には、オメガ-3脂肪酸が豊富に含まれ、ビタミンD、ビタミンB12、ビタミンAなどのビタミンも多く、栄養バランスが良いことが特徴です。
オメガ-3脂肪酸は、皮膚、被毛や関節に役立つ栄養素で、毛艶を良くしたい犬や涙やけが気になる犬の皮膚や被毛の健康をサポートできるでしょう。
また、免疫力の向上にも効果的で、環境変化によるストレスの緩和や病気になりにくい体づくりを手助けします。
比較的低カロリーで消化性が高いため、シニア犬や体重管理が必要な犬、ダイエット中の犬にも適しているでしょう。
■神経系の健康維持には青魚
青魚は、背が青く回遊性のある魚が多く、イワシやサバ、アジ、ニシンが代表的です。
そもそもの定義はないものの、赤身魚に分類される魚種も多いので、赤身魚にアレルギーがある場合は反応してしまうこともあるようです。
青魚は DHAとEPAの含有量が多く、脳を活性させたり、炎症を抑制したりする効果があります。
また、ビタミンD、ビタミンB群、カルシウム、亜鉛などのビタミンやミネラルも豊富に含まれるため、心臓や血管、関節の健康を重視したい犬におすすめです。
「魚を食べると頭が良くなる」といわれるように、脳の機能をサポートできるため、シニア犬の認知機能の健康維持、子犬期の発育にも重要な栄養素を豊富に含んでいることが大きなポイントになります。
魚を主原材料にするドッグフードの選ぶ際のポイント
さまざまな魚の栄養素について解説しましたが、飼い主さんにとって多くのドッグフードから”うちの子”に適しているものを選びたいものです。
ここからは、魚を主原材料にするドッグフードの選ぶ際のポイントを解説するので、参考にしてみてください。
■魚ならではの栄養
魚を使用しているフードならではの特長として、魚が持っている特有の栄養を気楽に取り入れられるという点はやはり見逃せません。
具体的には、魚の脂質に含まれるオメガ-3脂肪酸には、EPAやDHAが豊富。
これらは、体内でほとんど作ることができない「必須脂肪酸」の一種です。
EPAは炎症を抑える働きがあるといわれていて、血流の健康維持に役立つほか、神経系の健康維持に必須のDHAも非常に重要な栄養素。
お肉を主原料としたドッグフードの中にもわざわざフィッシュオイルなどの形で取り入れているものも少なくありません。
また、サーモンに含まれるオレンジ色の色素であるアスタキサンチンは優秀な抗酸化成分としても知られているほか、小魚などの骨などには希少なミネラル類もバランスよく含まれています。
主原料として魚を選択しているドッグフードを選ぶことには、これらの栄養を日常的にバランスよく摂取できるという大きなメリットがあるのです。
■アレルギー反応について
魚にも肉類や穀物同様タンパク質が含まれます。そのため、魚に明確なアレルギー反応を示す子ももちろんいます。
犬の体質により、アレルゲンになりやすい食材も異なりますが、肉類と比較して魚系はアレルギーを起こしにくいといわれます。というのも、普段犬たちが食べるものは鶏や牛などの肉に由来するタンパク質が含まれているものを手に取りやすい、という理由が大きいと思います。
アレルギー反応は、アレルゲンとどれだけ接触したかによって起こりやすさが決まるといわれています。
そのため、チキンやビーフなど肉類でアレルギー反応が見られる場合、魚を主原材料に使用したドッグフードならアレルギーが出ないことも多いようです。
とはいえはじめて与える際は少量から様子を見て与え、不安に感じる場合はかかりつけの獣医師に相談するのがオススメです。
■栄養バランスを意識しよう
魚を主原材料にしたドッグフードに限らず、一つの原材料が栄養価の高い食材でも、全体的なバランスがなによりも大事です。
基本となる主食には、摂りたい栄養素がすべて含まれる総合栄養食を与えることをベースに、魚の栄養価に着目して与えたいときは、おやつやトッピングとして手作りするのも良いですね。
オヤツや副食ばかり食べさせていると栄養バランスが崩れがちになります。主食とのバランスも考えながら与えるのがベストです。
まとめ
魚を主原材料に使用したドッグフードは、犬の健康維持に役立つタンパク質が豊富に含まれます。
また、オメガ-3脂肪酸やビタミン、ミネラルの含有量も多く、筋肉量を増やすことや関節のケア、皮膚や被毛もキレイに保つ効果が見込めます。
ドッグフードを選ぶ際は、魚特有の栄養素に着目しながら、犬の嗜好や体質に適しているかを確認してください。
おいしく健康的な食生活で、元気に過ごせる毎日を送りましょう。