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2017.12.31

「ワイルドサーモン」の苦労話

「ワイルドサーモン」の苦労話

創業当初からプレミアムフードをカタログで販売し、いくつもいくつも良いフードを選び続けて見続けた結果、そのセレクト眼にも信頼を頂けるようになりました。 ところが、セレクトしたフードがどんどん高スペックになり文句のつけようのないフードが目立つようになると、徐々に私たちポチスタッフの中には、自分の犬の食事には、健康にいいというだけじゃなく、犬の好きなものやその日の気分で気になっているものをプラスしたい。高スペック過ぎずお手頃な価格、ベースとして使えるような高品質なフードがほしくなってきました。 ドライフードだけで完結させることを目指している大手ドライフードメーカーには発想できない新フードの開発は、作り手として大きなチャレンジとなりました。 2016年。創業20年を迎える前に『グローバルブランドに負けないほど質が高く、自分たちが本当に使いたい本格的な総合栄養食』を目指した、
『POCHI The Dogfood(3種のポルトリー)』は、理想に近い形で発売することができました。
発売するや、予想以上にたくさんのうれしい言葉をいただく中、最初に届いたお得意さまからの残念な声が、『うちの子アレルギーで鳥系はダメなのよ』でした。

将来、鳥以外のバラエティも作りたいという思いもありましたが、いつになるのか、果たして納得のいくものになるのか、今、満足して頂いている皆さんに《3種のポルトリー》以上にいいものをお届けできるのか・・・・・・。
ここでは、立ちはだかる3つの問題をひとつひとつ解決するまでの揺れ動く心情?!を、POCHIの中の人からお届けします。

「回せるのか」問題

完全なオリジナルドライフードを海外で生産し、輸入するとなるとどうしてもコンテナ単位の発注が必要となります。
《3種のポルトリー》を製造する工場は、ようやく出会えた信頼できる人たちが、長い間、実直に稼動させてきたところなので、あまり無理強いはせず、納得し、なおかつ経済的につくってもらうために、 最低ロット(1回の発注)を、10トン(20フィートコンテナ)で契約しています。 一般的なプレミアムフードの賞味期限は1年~2年ですが《3種のポルトリー》は、製造後18ヶ月です。発注してから材料を調達し、丹念に作ってパックして輸入と、約2ヶ月かかるため販売開始時点では残16ヶ月。賞味期限まで6ヶ月は残さないと出荷することが厳しくなるため、 正味10ヶ月で10トンを売らなくてはなりません。つまり、月1トン、1キロサイズだと1000個です。

ポチ取り扱いの主な定番ドライフードでさえ1種類だけに絞ってみると、月に1~2トンがいいところ。新参者のフードである《3種のポルトリー》の販売計画は、希望を含めて(かなり無理をして)その半分くらいの目標(月0.5トン)を設定しました。
10ヶ月で5トンを販売して、残り5トンをどうするのか。『こんなにおいしいフードが出来たんだから、よし!とにかくみんなに試食してもらおう。きっと食べてくれる。そうしたら、次は手にとってもらえるはず。』と、 10トンの半分を無料の配布用サンプルにすることに決めました。
初回ロットは赤字覚悟の戦略です。ところが幸いにして、サンプリング作戦が大当たり!想定外の売れ行きとなり、第1便の商品が足りなくなる始末。すぐにオーダーしたものの間に合わず、急きょ航空便で輸入せざるを得ない状況に。

少しの間ご迷惑をかけてしまうことに恐縮しつつも確信したことは、「回せる、これなら次が作れる」でした。さらに同時によぎったのは『うちの子アレルギーで鳥系はダメなのよ』という声。その声に後押しされるように、 早速次のレシピにとりかかることに。構想はある程度できていました。「肉の次は魚だ!」と。

《3種のポルトリー》発売から1年経てば、ドライフードもそれなりに進化します。それに遅れないよう、新製品なら進化して登場させなければ出す意味がありません。《3種のポルトリー》にはない、 なにかあたらしいスペックを可能な限り盛り込めるように奮闘しました。

「どこにフォーカスさせるか」問題

主原料はサーモンと決めていました。サーモンは、サケ科の魚にみられる、最強の抗酸化物質アスタキサンチンを豊富に含みます。また最近では関節や皮膚の炎症を抑えるとされているEPAもしっかりと含まれています。 アスタキサンチンの色で身はサーモンピンクですが、分類としては良質なタンパク源である白身魚です。 それに魚フードの中でもサーモンは人気なのです(お鮨でも人気ネタですよね)。若干イクラの匂いがするサーモン油も使用しました。これで嗜好性もアップするはず!

でもこれだけでは進化といえません。ノーグレインが当たり前になってきているドッグフードですが、グレイン(穀類)の代わりになにを使って粒にするのかがポイントになってきています。 《3種のポルトリー》では、エンドウ豆をメインにポテトをつかいました。 《ワイルドサーモン》では、メインのエンドウ豆はそのままにポテトに替えてよりGI値の低いスイートポテトを採用。 同時にポテトプロテインも抜いてポテトフリーを実現しています。

《3種のポルトリー》では、日々の健康維持を目的にハーブを多品種少しずつ配合しましたが、おなかの弱い犬が増えてきているという傾向を見て、今回はおなかの健康を守ることにフォーカスしました。 フィトセラピストにおなかの健康のためのオリジナルハーブのブレンドレシピを考えてもらい、加えて、おなかの健康維持や免疫維持のためプロバイオティクスとして働く[サッカロマイセス・セレビシエ(出芽酵母)]とバイオジェニックである[イーストカルチャー]、プレバイオティクスである[セルロース]、[イヌリン]に加え、[マンナンオリゴ糖]を使用し、《3種のポルトリー》を上回る「よいウンチ」を目指しています。

『トッピングフレンドリー』問題

最後は、一番難しいトッピングフレンドリー フォーミュラーの肝である『タンパク30%、脂質10%』のスペック実現です。
(そもそもこの30%、10%のスペックにしたのは、40%近い高タンパクフードに肉などをトッピングすると腎臓に影響が出そうで怖い、とはいえ、忙しい朝などドライフード単体でも与えるシーンもあるだろうから最低30%はほしい、また、いろいろなヘルシーオイルをトッピングしたいから脂質はなるべく低めに。 といった具合のわがままな意見ですが、ポチスタッフ全員一致で決まりました。)

はじめてのフードが上々の出来栄えで、『タンパク30%、脂質10%』をほんとうに実現してしまったから、その数字が高いたかい壁となって立ちはだかりました。 生肉・生魚の配合量を増やしてタンパク質を上げると、同時に肉や魚に含まれる脂質もぐっと上がってしまいます。 また、必須脂肪酸であるリノール酸を配合するため別に植物油が必要となり、そうすると脂質を10%に抑えるのは厳しくなります。 タンパク質30%、脂質10%が、どんどん遠のいていくのです。 生肉・生魚以外にタンパク質だけを上げるための納得の原材料を探すことになりました。

一般的にはミール(レンダードプロダクツ)を使用しますが、ミールもピンキリで、一般的なミールは、人用の食品加工工場で出る加工残渣を有効活用して、さらに油を搾った残り(ほぼタンパク質)を乾燥させた粉です。(知っていてほしいのは、これは昔言われている危険な4Dミートとかいうものではありません)。 加工残渣となった時点で人間の食品ではなくなるため、その取り扱い方が雑になってしまい、現状のままでは使いたくない原材料の一つにカウントされてしまいます。

《3種のポルトリー》では生肉以外のタンパク源として、エンドウ豆プロテイン、ポテトプロテイン、加水分解チキンレバー、鶏卵粉を採用しています。《ワイルドサーモン》では魚のLIDを目指しているためチキンレバー、鶏卵を除き、さらにポテトフリー実現のためポテトプロテインを除きました。 ここからタンパク質30%、脂質10%に持っていくのはほんとうに至難の業でした。 あれこれ組み合わせて、エンドウ豆プロテインを残し、アレルギー用の療法食などにも使用されている高級原材料である[フィッシュペプチド]に行きあたりました。

原材料スペックとしては《3種のポルトリー》から、さらに一歩進化できたと自負しています。 嗜好性テストも繰り返し行い、おいしく調整できました。《3種のポルトリー》同様、大変おいしく、また、一般的なフードの嫌な臭いもしない香ばしいフードに仕上がりました。
《3種のポルトリー》はトッピングなしだと、ウンチが固くなるというレビューもあります。ポチではそれもしっかり受け止めて《ワイルドサーモン》はその問題にも取り組み「おいしく食べてよいウンチ」を目指しています。

原材料原価は上がりましたが、お値段据えおきで頑張ります。
ぜひお試しください。

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