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2019.03.28

犬のカーミングシグナルとは?しぐさを理解して犬の気持ちを知ろう

しばしば犬が行うしぐさ、「カーミングシグナル」という動作にはさまざまな意味があるのをご存知でしょうか。

カーミングシグナルとは、直訳すると、「心を静める信号」。知らない犬同士が出会ったときに敵意がないことを伝えたり、ストレスを感じているときに自分を落ち着かせたりするしぐさのことを言います。このしぐさは世界共通のようで、犬は太古の昔からこのような行動をとることで、犬同士の無駄な争いを極力避けて生きてきたと言われています。 今回は、そんな犬の心を知るためのカーミングシグナルについてご紹介いたします。

犬のカーミングシグナル:カーブを描きながら近づく

一直線に近づいてくるのではなく、ジグザグや円を描きながら近づく動きもカーミングシグナルです。
相手に敵意がないことを伝えつつ、自分も少し警戒していることを表しています。これは知り合ったばかりの犬同士の間でよく見かけるしぐさです。逆にまっすぐ近づいて来る相手は「攻撃しようとしている!」と見られるため、
喧嘩や反撃の原因になることがあります。

犬のカーミングシグナル:座る


疲れているわけでもないのに、犬が突然ぺたんと座り込むこともカーミングシグナルです。「ちょっと待てよ」と
自分の心を落ち着かせようとしています。
これは、犬同士の争いを避けるためにも使われるようです。騒ぐ犬に対して人間が「お座り」と言って座らせることは、犬の心を落ち着かせる作用もあるようです。

犬のカーミングシグナル:地面の臭いをかぐ

もちろんおしっこをする場所を探しているだけということもありますが、カーミングシグナルの可能性があります。
犬は、臭いをかいで安心する動物で、むしろ、外のいろいろな場所の臭いをかぐのが散歩のたのしみという犬もいます。ただ、いつもよりやたらと、無目的に地面の臭いをかいでいるように見えるときは、犬が自分の
不安や興奮を抑えようとしているシグナルのようです。

犬のカーミングシグナル:おしっこをする

本来生理現象であるおしっこも、場面によっては犬のカーミングシグナルかもしれません。 犬は、自分に敵意がないこと、仲良くしていきたいことを表すために、ほかの犬の前でわざとおしっこをすることがあると考えられています。相手に対して自分をさらけ出し、されたほうも相手の臭いを確認してより安心するようです。

犬のカーミングシグナル:自分の鼻や口を舐める


口の周りを舐めるのも不安やストレスを感じてときに見られるカーミングシグナルです。
自分も相手も落ち着かせようとしています。知らない相手とすれ違ったときや、動物病院の待合室などでこのしぐさをしていたら、「緊張してるんだな」とわかりますね。

犬のカーミングシグナル:相手を見てふせをする

攻撃心がないこと、服従のシグナルです。また、自分や相手を落ち着かせる作用もあるようです。しつけで犬に「伏せ」を覚えさせることは、主従関係を明確にすることにもつながります。

犬のカーミングシグナル:あくびをする

ストレスや、やめて欲しいことを相手に伝えるシグナルです。また、自分の高ぶった気持ちを抑えて、相手の興奮を静めようとする作用もあると言われています。

犬のカーミングシグナル:転位行動

たとえば、自分の尻尾を追いかけてグルグル回ったり、八つ当たりのように地面を掘り続けたりすることを「転位行動」と言います。これは人間にも予想できるシグナルですが、やりたいことができなかったり、うまくいかなかったりしたことにストレスを感じて、別の行動で発散させようとしているために起こす行動と考えられています。

DOG's TALK

ポチのペット栄養管理士からひと言

言葉を発することができない犬たちですが、そのしぐさや行動にはさまざまな意味が含まれています。
最近の研究では、犬たちは種族の異なる私たち人間にも、ジェスチャーを通してメッセージを意図的に送っていることが証明されました。
飼い主ならすぐに分かるような「ごはんちょうだい!」や「ここ撫でてよ~」という何気ないメッセージも、実は犬たちが私たち人間に伝わるように発明したジェスチャーなのかもしれません。
そして更に研究が進めば、犬たちの考えていることや伝えたいことが、より詳細に分かるようになる日もやってくるかもしれませんね。

おわりに

カーミングシグナルという概念は、ノルウェーのドッグインストラクターであるトゥーリッド・ルガース氏が提唱しました。上で挙げた例のほかにも20数種類あり、犬の本当の気持ちが表れるしぐさを知ることで、正しいトレーニングやしつけが可能になります。なによりも、犬とのコミュニケーションがより確かなものになり、分かり合えたという喜びや楽しさは格別です。
ただし、幼い頃に母犬や兄弟から引き離された犬は、このカーミングシグナルを習得しておらず、ほかの犬のシグナルにも気がつかない場合がありますが、人間と同じように「少しコミュニケーションが苦手な子なんだ」と個性として受け止めつつ、外では「待て」や「おすわり」のコマンドを上手に使って、コントロールしてみてくださいね。