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2022.03.07

チアシードってどんなもの?ドッグフードの原材料として調べてみました

チアシードってどんなもの?ドッグフードの原材料として調べてみました

ペット栄養管理士について

*1 2002年5月より実施されている、「ペット栄養管理士」の認定試験に合格した、犬や猫の栄養学の専門家です。栄養・健康増進及びペットフードの品質向上等に関する会員相互の知識、技術の向上を目的に1998年6月に設立された一般社団法人日本ペット栄養学会によって認定されている資格です。 日本ペット栄養学会

ドッグフードの原材料の中には、それ自体に健康維持に役立つ独特な成分が含まれていたり、全体的な栄養バランスが優れているなどで注目される食材があります。中には「スーパーフード」と呼ばれ、人間用の食材としても人気が出るものもあります。

今回はドッグフードや犬用オヤツ、サプリメントなどでたびたび使用されることがある食材の中から、「チアシード」に注目してご紹介します。
ダイエット用の食材としてなじみ深いチアシードですが、犬にとってはどのような面で役立つのでしょうか?また、ドッグフードの作り手の視点ではどのようなことを期待して使用されているのでしょうか?ペット栄養管理士が調べてみました。

チアシードってどんなもの?

ダイエットではすっかりおなじみのチアシード。ダイエット用のお菓子や健康食品によく使われていますよね。

チアシードは、シソ科の「チア」という植物の種です。チアはもともと南米が原産で、サルビア・ヒスパニカというのが正式名称です。
16世紀にはすでに栽培されていたという記録があるそうで、原産地の南アメリカでは、現地の人々にとってトウモロコシと同じくらい大切な栄養源とされてきました。
見た目はゴマによく似たとても小さな粒なのですが、水に浸せば水分を吸収し、ゲル状の成分を種の周囲に作り出します。水分を吸ったチアシードは、種と比較して10倍以上の重量の水を保持することができるのだそうです。この特長が、お腹の中で膨らみ満足感が得られて食事量を制限するサポートに繋がるため、ダイエットに活用されている理由のひとつです。

でも、チアシードのスゴいところはそれだけではありません。もう少し詳しくチェックしていきましょう。

チアシードの特長とメリット

チアシードは、南米の原住民の方々にとって非情に重要な役割を果たしてきた食材です。とても小さなチアシードですが、その中には意外と様々な栄養が含まれているのです。

【100gあたりの栄養価(USDA FoodData Central参照)】

炭水化物 42.1 g
(うち食物繊維 34.4 g)
脂質 30.7 g
タンパク質 16.5 g


ぱっと見て炭水化物の量が多いということが気になる方が多いと思います。これは表記の都合上、炭水化物には食物繊維を含んだ値が記されています。チアシードの場合、炭水化物の中の食物繊維が非常に多いことが分かります。つまり、チアシードに含まれる炭水化物は消化吸収されるデンプンなどの糖類は少なく、食物繊維がほとんどなのです。
また、脂質が100g中30.7gとこちらも高めですが、この脂質は必須脂肪酸である不飽和脂肪酸がほとんどを占めています。
不飽和脂肪酸は犬が体内で作ることができないため、食事から取り入れる必要があります。チアシードに含まれる不飽和脂肪酸はオメガ3脂肪酸のひとつであるαリノレン酸がオメガ6脂肪酸であるリノール酸より多く含まれているのが最大の特長です。

また、さまざまなビタミン類やミネラル類もバランスよく含まれています。
具体的には、とくにビタミンB群のチアミンとナイアシン、葉酸などが、ミネラル類ではカルシウム、鉄、マグネシウム、マンガン、リン、亜鉛などが含まれています。
基本的な食事にプラスすることでオメガ3脂肪酸やビタミン、ミネラル類バランスよくを取り入れることができる食材といえるかもしれません。

ドッグフードの原材料視点で見るチアシード

ドッグフード視点でチアシードをチェックしていくと、どのようなメリットがあるのでしょうか?

犬の健康とチアシードの関係についてまとめてみました。

■チアシードは犬の体重管理に役立つの?

チアシードは犬の体重管理にも役立てられます。
水を吸って膨らむ不思議なチアシードですが、膨らんでいるのはこんにゃくなどに含まれているグルコマンナンという繊維質です。
このグルコマンナンがお腹の中で膨らむため、消化スピードが遅くなり犬のお腹が減るスピードもゆっくりになります。普段と同じ量でもチアシードをプラスすることで、満足感が持続するようになりますので、すぐにお腹が減ってしまい、おねだりがなかなか止まらない犬にできるひと工夫としてオススメです。

■チアシードは犬のお腹の健康維持にも嬉しい食材

チアシードのグルコマンナンは、水溶性食物繊維に分類される繊維質で、腸内細菌のなかでも有用菌のエサとなります。
お腹の調子が安定しにくく軟便が続いている犬や、運動不足などで便秘になっている犬にとって、腸内環境を整えることはとても大切です。グルコマンナンは、ダイエットをサポートするだけではなく腸内環境も整えられるうれしい成分なんですね。
ちなみに、ダイエットが必要な犬は運動不足などで便秘気味になりやすい傾向にあるので、そんな時にもチアシードを活用できます。

■シニア犬にオススメ。チアシードを取り入れよう

シニア期の犬は運動量が落ち、代謝能力も低下しやすいといわれています。また、肥満傾向にあると加齢による関節の痛みが強くなり、運動量がさらに減る…というループに陥ってしまいがちに。
このシニア期の関節に関連するよくないループから抜け出すためにも、体重管理を行うことを意識していきたいところです。
シニア期になった犬の体重管理を行う時にヘルシーで非常に役立つスーパーフード・チアシードを、日常的な食事にプラスしてみてはいかがでしょうか。

シニア犬、体重管理が必要な犬に絶対オススメ

シニア犬、体重管理が必要な犬に絶対オススメ

アーガイルディッシュ チアシード

●保証分析値
粗タンパク質 20.5%以上  粗脂肪 34%以上  粗繊維 36%以下(不溶性30.0%  水溶性 6.0%)  水分 8%以下
○代謝カロリー 490kcal/100g

●給与目安量(1日/付属スプーン)
小型犬&猫(9kg未満)   …1/2~1杯
中型犬(9kg~18kg)   …1~2杯
大型犬(18kg以上)    …2杯~
を食事の回数にわけて与えてください。
(18kg以上は体重9kg毎に1/2杯ずつ増やして下さい。)
※熱を加えずそのままふりかけたり、水でふやかしたものを混ぜてご使用ください。すりつぶして使用する際は、使用する分だけをその都度すりつぶしてご使用下さい。

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おわりに

人間用のスーパーフードとして人気が高いチアシードですが、犬の健康維持にも役立つ成分が多く含まれており、今後はドッグフードの原材料としてもより身近なものとなっていくのかもしれません。
「シニアになってから体重が増えてしまった…」「食欲が旺盛でオヤツやごはんのおねだりがすごい…」という時などには、チアシードをトッピングのような感覚で与えることが効果的なケースもあります。犬の個性や体調、体質に合わせて使用されている原材料をチェックしていくと、ドッグフード選びのヒントにもつながります。