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2019.07.01

目と目が合ったときに増える犬と人の絆ホルモン、オキシトシンってどんなもの?

目と目が合ったときに増える犬と人の絆ホルモン、オキシトシンってどんなもの?


犬たちと暮らしていると、何かと私たちの顔を覗き込んできたり、目で何かを訴えようとしてきたり。視線が合うことって多いですよね。犬たちと良く目が合う、というのはもしかすると犬たちからの信頼の証のひとつだという研究結果が発表されています。

私たち人間と犬たちが互いに目が合う時、"幸せホルモン"や"愛情ホルモン""絆ホルモン"という異名を持つ「オキシトシン」という物質が、私たちだけでなく犬たちの体内でも大幅に増えるという研究レポートもちらほらみかけるようになりました。
ちょっと気になるこの"絆ホルモン"オキシトシンについて、少し調べてみました。

オキシトシンってどんなホルモン?

オキシトシンは私たち人間や犬、猫などの脊椎動物の多くが持っているホルモンです。子どもを生んだ母親が母性を抱くきっかけになるほか、母乳が出るようになる作用を持つなど、親子間ではこれまででも多くの動物がこのホルモンを血中で濃度の上げ下げを行っていることが知られていました。
また、このホルモンには母親、子どもの両方が同じように血中濃度が上がることでストレスを軽減したり、幸福な気持ちになることも分かっていました。

このオキシトシンが、改めて注目されたのは犬たちと私たちの触れ合いを通して、人間と犬両方のオキシトシン濃度が上昇している、という実験結果が出たためです。
そして、人間と犬という異なる種の動物が互いに同じようにオキシトシンの血中濃度が上昇するケースは他に類がなく、これこそが犬たちと人間の特別な"絆"の生まれる理由なのではないか、と言われています。

人と犬はどのように絆を育んできたのか。

では、犬たちと触れ合っているどのような時に血中のオキシトシンの濃度は上がるのでしょうか。それはずばり、視線が合ったとき。犬たちと一緒に過ごしていると、何かと視線が合うことがありますが、これは犬たちが視線で自分の意思を伝える能力を持っているためです。そして同様に、私たちの視線の動きなどから考えていることを読み取る能力を持っているためです。

具体的な例として、私たちが食事をとっていると、犬たちが「いいなぁ…」と言いたそうな視線を向けてくることがありますよね。こちらを見て、私たちが食べているものを見て、そしてまた視線が私たちのところへ戻ります。視線で「今、あなたが食べているものをボクも食べたいな!」と伝えているのが分かりますよね。そのほかにも、ボールを持ってきてこちらを見た後にボールに視線を向けて、再びこちらに、といったように。

このように、犬たちと私たちは視線で会話をすることが可能なのですが、この視線が合っているときにお互いに血中のオキシトシンの濃度が上がっているようなのです。
視線が合うだけでオキシトシンの血中濃度が上がる例としては、人間の赤ちゃんが目が合うと笑うなどの反応を示すとき、同じようにお互いに血中のオキシトシンの濃度が上がるのだそうです。

人と犬は一緒に生きることで絆を結ぶことになった。

ちなみに、犬たちの仲間であるオオカミたちの場合、同じ群れの仲間同士の触れ合いであればオキシトシンの血中濃度は上がるものの、一緒に暮らしている人間との触れ合いを通しても数値が上がることはなかったのだそうです。
つまり、犬たちと私たち人間は一緒に暮らしていく中で、互いのコミュニケーションの手段を作り上げていったということができるのかもしれません。

また、犬たちは人と触れ合うといっても、どんな人と犬でも必ずオキシトシンの血中濃度に影響が出るとは限らないようで、犬好きな人はやっぱり飼い犬でなくても犬と触れ合うと血中のオキシトシン濃度に変化が出た(もちろん、大好きな飼い主さんが一番ですが)一方で、犬が好きではない人の場合は、人も犬も血中のオキシトシンの濃度に変化はなかったのだそう。
「犬は犬好きの人が分かる」なんて言われたりもしますが、この結果をみるとあながち間違いではないのかもしれませんね。

犬と見つめ合って「何が言いたいのかな~」と犬の気持ちになって察してみる。その繰り返しがオキシトシンを増やすなんて素敵なことですよね。「絶対○○って言ってる」と思うときって多々ありますしね。(通じないことも同じくらい多いのですが…。)
これからも一生懸命目線や態度で犬たちに伝えてみる、話しかけてみるということを積極的に行いたいですね。

DOG's TALK

人と一緒に過ごしてコミュニケーションを取ることによって、犬たちも私たちと同じように幸せな気持ちになっていてくれるなんて、こんなに嬉しいことはありませんよね。「こんなこと思ってるんだろうな」とか「こんなこと言ってそう」と思っていた犬たちの表情や視線が、犬たちと私たちとの間のコミュニケーションとして成立して、その時にオキシトシンが上昇していたことはちょっぴり驚きです。私たちが犬たちの表情やしぐさから感情を読み取るのと同じように、犬たちも私たちの表情やしぐさを良く見ています。これから、犬たちと一緒に暮らしていく上ではそのことも改めて考えて接していきたいと思います。
一緒に過ごしている犬たちに少しでも多くの幸せを感じて欲しいと願って、あれこれとしてしまうものですが、犬たちが実際にどんな状況で「幸せだなあ…」と感じているのかを知る上で、重要なヒントになってくれそうですね。