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2020.03.12

これって病気?犬が舌を出す、犬のペロペロが止まらないときの理由・原因とは。

犬が舌を出して何かをペロペロなめるしぐさはとてもかわいらしいもの。しかし、飼い主が気になるほどしつこく自分の体をなめている場合は、犬からの何かのサインの可能性があります。ストレスがたまっていたり、病気や怪我などの異常があったりするために、気にして舐めている可能性もあるようです。

今回は、犬が舌でなめる部位別に、なめる原因として考えられることをまとめてご紹介します。

犬が舌を出したりペロペロする理由

 
犬が舌を出したり、コミュニケーションとして飼い主や他の犬をなめたりすること自体は、犬の生態として良くある行動です。

たとえば、犬は人間のように体中に汗腺があるわけではないため、汗で体温調節することがほとんどできません。そのため、犬は舌を出すことで体温調節をしています。
これをパンティングといい、舌の表面の水分を蒸発させることで体温を下げているのです。暑い日や運動をした後の犬によくみられる行動ですよね。

また、自分や相手を落ち着かせようとする行動である、「カーミングシグナル」の場合も考えられます。自分の鼻や口元、または飼い主や他の犬の体をなめる場合、敵意がないことを表現するカーミングシグナルの可能性があります。飼い主や他の犬に親愛の気持ちを表現するために、口元以外の体の一部を舐めることもあります。ただ、ほかの犬をしつこく舐めるとケンカの種になることもあるので、ほどほどでやめさせる方が良いかもしれませんね。

犬がなめる部位でストレスや病気のサインは分かる?


犬が何度も同じ場所を舐めるとき、その頻度によってはストレスや病気のサインになっている可能性が考えられます。
犬は痛みやかゆみ、違和感がある場所をなめたりかじったりすることがあります。何度もそれを繰り返している内にその箇所で雑菌が繁殖してニオイのもとになったり、炎症を起こすことがあるほか、脱毛などの症状がでることもあるので、注意が必要です。
犬が気にして良く舐めている場所に何か異変が起きていないか、チェックしてみてください。

■鼻やその周り

しきりに鼻をペロペロとなめている場合、副鼻腔(びくう)炎鼻炎など、何らかの炎症を起こしている可能性があります。犬の鼻は基本的に舌で舐めることで湿らせて、鋭い嗅覚を維持しているといわれています。ただ、犬たちの鼻から頻繁に鼻水が出ていたり、違和感がある場合には何度も何度も舐めるようなしぐさを見せることがあります。短時間にこのしぐさを繰り返したり、状態が長く続くようであれば体調不良のサインの可能性があるので、注意が必要です。

また、過度の緊張をほぐすために、いわゆるカーミングシグナルとして鼻をなめる場合もあります。副鼻腔炎や鼻炎の心当たりがないなら、犬に何かストレスがかかっていないかどうかチェックしてみましょう。

■自分の口の周り

犬が自分の口の周りを舐める時の多くは、口元に食べ物の残りかすがついているなどの場合が多いです。特に顔周りの毛が長い犬の場合は、食事が終わったらこまめに口元を拭いてあげるなどすると対策になります。
そのほかには緊張の現れの可能性があります。たとえば、飼い主がイライラしている、家族がけんかしているなど、犬が過ごしにくい状況になってはいないでしょうか。

犬が群れで暮らす生き物です。仲間である家族の不和は犬にとって強いストレスになります。犬は飼い主の表情やしぐさを敏感に感じ取るため、犬が心配しないような環境づくりができればいいですね。

■足、同じ場所

犬が気にして舐めたりかじったりして、舐め壊しになりやすい部位としては、足の指や指の間があります。
犬にアレルギーがあったり、敏感肌の犬の場合は植物の花粉や種子などの刺激でかゆみが出やすい場所だといわれています。この場所は犬も舐めたりかじったりしやすいこともあって、気にし始めると何度も繰り返してしまい、ただれたり、炎症を起こしてさらに症状を酷くしてしまうこともあるので注意が必要です。動物病院で相談して、薬を処方してもらうほか、自宅でできるケアとしては足先を濡らしたままにしないよう、こまめに拭き取り、ドライヤーで乾かしたり、清潔に保つためにシャンプーをするなどの対策をする方が多いです。

そのほかの要因としては、ストレス。飼い主が留守にすることに対して過剰に反応してしまい、同じ場所をしきりになめてしまうことがあります。

■陰部をなめる場合

陰部を気にしてなめている場合は、膀胱炎のおそれがあります。膀胱炎の一般的な症状は、尿の色が濃くにごっている、トイレに行く回数が多い、血尿が出る、といったものが挙げられますが、放置しておくとストルバイト結晶などにも繋がってしまいます。普段から犬たちの飲水量が多めになるよう食事内容を見直したり、オヤツとしてミルクを与えるなどの工夫が効果的です。また、メスの場合は膣炎の可能性もあるため、心配な場合は獣医師に相談してみましょう。

病気?吐き気(嘔吐)の前兆の場合もある

犬は、嘔吐の前兆として口元や鼻をペロペロとなめることがあります。舌を出しながらえずくような動作をしている場合も同様です。もしかしたら、犬が何かを吐き出そうとしているのかもしれません。

犬が嘔吐する原因にはさまざまなものがありますが、その日食べさせたものに、犬が食べなれていないものやストレスがかかるようなことがなかったか、他に変わったことがなかったかを確認してください。なにか嘔吐しようとしているのに出てこないという場合は、異物を飲み込んでしまっている可能性もあるため早めに動物病院へ連れて行くのがいいかもしれません。

おわりに

今回は、犬が舌で自分の体をなめる動作と考えられる可能性についてご紹介しました。

犬は猫とは異なり、自分の舌で毛づくろいをすることはあまり多くありません。そのため、体の特定の部位をしきりに気にして、ペロペロとなめ続けている場合は、他に何か症状や変わったことがないかどうかを観察してみましょう。かゆみや痛みを気にしてなめ続けている可能性もゼロではありません。自分では原因が分からない場合には、様子を見て動物病院で診察を受けるようにしてくださいね。