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2020.06.04

ドッグフードに使用される原材料としてヘンプシードに注目の「なぜ」?

ドッグフードに使用される原材料としてヘンプシードに注目の「なぜ」?

私たち人間では、めまぐるしくファッションや食べ物の流行は移り変わっていきますが、ドッグフードにもトレンド、流行と呼ばれるレシピや原材料が登場することがあります。
今では当たり前になっているグレインフリーやフレッシュミート使用なども最初はいわゆる「トレンド」として登場したものの一つでした。
今のトレンドが、これから先のドッグフードの当たり前になっていくのかもしれません。

そんなトレンドの中、皮膚の健康としてすでにトレンドから定番的なものになっている亜麻仁(フラックスシード)があります。フラックスシードオイルはαリノレン酸を豊富に含み、オメガ3脂肪酸供給源としてプレミアムフードで採用されています。今回は「今」注目されていて、フラックスシードと同じ植物性である「ヘンプシード」についてご紹介します。

ヘンプシードっていったい何?

ヘンプシードとは、繊維が衣料品などにも使われることがある麻の種のことを言います。暑くなってくると、通気性が良くさらっとした麻の布を使った服は着心地が良く人気が高い衣料品ですよね。
麻という植物自体は生育が非常に早く、ヘンプシードも約90日で収穫することができるので、収穫までのサイクルが短いことが特長です。この特長を活かし人々は様々なものを麻から作ることができるようになったといわれています。
ちなみに別名の大麻という呼び方になると「陶酔成分が含まれているのでは?」「危険なものでしょ?」というイメージがありますが、ドッグフードに使用されるものを含め、食用のヘンプシードは陶酔成分が含まれていないものを厳重に管理して生産されていますので陶酔することはありません。

ヘンプシードはドッグフードの原材料としても栄養的にも優れている

まず、ヘンプシードには豊富なタンパク質が含まれていて、そのタンパク質は哺乳類にとって消化吸収しやすい「エディスチン」と呼ばれる変わった構造を持っているのだそうです。この構造は体内で速やかに使用され、免疫系やさまざまなホルモン、赤血球、様々な酵素を作る際にスムーズに使われるようです。

また、ヘンプシードのタンパク質は植物性の原材料としては優秀で、犬の必須アミノ酸全10種類を含んでいます。

ヘンプシードから搾ったヘンプシードオイルにはリノール酸(オメガ6)、αリノレン酸(オメガ3)、γリノレン酸(オメガ6)が含まれており、なおかつ脂肪酸バランスが理想的。γリノレン酸は月見草オイルやボラージオイルにも含まれていますが、3つの脂肪酸がバランスよく含まれているのはヘンプシードオイルだけです。

また、ヘンプシードに含まれているCBD(カンナビジオール)という成分は、心を落ち着かせ、免疫系の調子を整えるフィトケミカルとして注目を集めています。慢性的な炎症やかゆみなどに悩んでいる犬たちにはうれしい成分となりそうです。また、免疫系に働きかけるという期待もあり研究がさらに進んで製品としての一般活用が待たれるところです。ドッグフードにもこの嬉しい効果が活用できるようになれば、精神的に不安定な犬にとっても嬉しい食材となりそうです。

さらにヘンプシードには、亜鉛や鉄分、マグネシウムといったミネラル類も含まれています。植物の種は、植物が発芽して土などから栄養を取り入れるようになるまで、成長するのに必要な栄養をぎゅっと凝縮しているような状態と考えられます。

環境を維持するタンパク源として注目のヘンプシード!

地球環境の破壊を食い止めることの必要性が高まり続けています。中でも、温暖化はまざまな地域で影響を及ぼしていて、大規模な山火事や洪水などの事態が世界規模で起きています。

ドッグフードで使用される原材料の中でも、ビーフやラムなどの大型の動物の飼育は二酸化炭素を排出するだけでなく、牧草地を広げるために森林伐採が行われるなど、課題が多いといわれていました。ヘンプは乾燥した環境でもたくましく育つ植物なので、そこから採れるヘンプシードは継続可能なタンパク源や脂肪源として活用できると人気を集めています。

ヘンプシードは植物から採れるタンパク源なので、飼育に伴って二酸化炭素を排出することはありません。むしろ、ヘンプはわずか90日間で1ヘクタールにつき21,000kgの二酸化炭素を吸収し、酸素を作るといわれているので二酸化炭素を減らす存在になります。

また、非常に生命力が強く乾燥した地域でも育てることができるので、砂漠化してしまった場所などの緑化にもつながる、と考えられています。
ドッグフードに使用できる量はレシピ的にそう多くはないかもしれませんが、少しでも環境に貢献できるのなら気持ちよく使えます。

これから大切な自然の資源を守るために、私たち人間の食事やドッグフードの原材料に変化が起きていく可能性があります。自然環境保護への取り組みはさまざまなものがありますが、無理のない範囲で少しずつ、私たちも犬たちもお手伝いができればいいですよね。

DOG's TALK

地球環境の保護のためにできる取り組みは、これからどんどん大きく広がってきそうです。
私たちに身近なドッグフードにおいても、先立って「gatherギャザー」というブランドが信頼できる生産者とつながり、必要以上の乱獲や環境負荷になる栽培を行っていない材料を選ぶなど持続可能な取り組みを行っています。すでに環境先進国であるヨーロッパなどでは取り入れらつつありますが、今後は日本でも今回ご紹介したヘンプシードなど環境に配慮した材料を多く使っているかどうかが注目されていくことになるのかもしれませんね。

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