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2020.07.22

ジメジメ季節は犬の皮膚病に注意!カビに関係する皮膚トラブルについて

ジメジメ季節は犬の皮膚病に注意!カビに関係する皮膚トラブルについて

きちんと掃除をしているはずなのに、いつの間にか発生しているカビ。とくにジメジメした梅雨の時季は要注意です。じつはカビは、皮膚炎を引き起こす原因となるなど、犬にとっても天敵。今回はそんなカビについて、犬への影響や、飼い主として知っておきたい対策法をご紹介します。

カビによって起きる主な犬の病気

カビは、一般的に「温度が20℃から30℃」、「湿度が60%以上」、「アカやホコリなどの栄養分」の3つの条件がそろうと繁殖します。日本の高温多湿の気候はカビにとって最適な環境といえ、各家庭での対策が求められます。おもちゃや家具についたカビを犬が舐めることで発生する病気もあれば、皮膚にカビがつくことで起きる皮膚炎もあるので、犬の健康のためにも日々カビの発生に気をつけたいものですね。

■皮膚糸状菌症(白癬症、皮膚真菌症)

小胞子菌など真菌(カビの仲間)が皮膚に付着して起きる皮膚病で、円形脱毛症を引き起こします。ひどい場合は、毛が抜けた部分に湿疹ができてかゆがったり、皮膚がただれる犬も。人にうつることもあり、状態をチェックする際には注意が必要です。

 

■マラセチア皮膚炎

マラセチアはカビの一種で、元々犬の皮膚や耳の中に常在菌として存在します。その菌が免疫力の低下などによって増え、皮膚病として発症。触るとべたべたする、かゆがる、皮膚が赤くなる、独特のにおいがするなどの症状が出ます。どの犬種にも起こり得ますが、耳が垂れた犬種や短頭種に多いといわれています。

 

■クリプトコッカス症

土の中やハトの糞に含まれるカビ菌の一種「クリプトコッカス」を、犬が吸い込むことで起きる病気です。空気中に浮遊しており、散歩中に吸い込んでしまう場合がほとんど。発病すると鼻水やくしゃみが出るのが特徴で、悪化すると脳炎や髄膜炎を引き起こす気をつけたい病気です。

 

DOG's TALK

カビによって起きる病気の治療は、塗り薬の塗布や、飲み薬の投与で行います。皮膚に異常を見つけたら放っておかず、かかりつけ医に相談し、早期発見・早期治療をめざしましょう。また皮膚炎が良くなったからといって、飼い主が勝手に判断し、治療をやめてしまうとぶり返すことが多いので、しっかり治療を続けるようにしましょう。

皮膚病予防のためのポイント1犬のシャンプー&ドライを意識しよう


きちんとシャンプーを行うことで、カビや汚れ、余分な皮脂を落とせば、それらをエサにするカビの増殖を抑えることができます。皮膚トラブルが起きてしまった場合は、薬用シャンプーの使用も考えられます。薬用シャンプーにはさまざまな種類がありますが、大きく、マラセチア皮膚炎などの皮膚トラブルの減少を目的とした「抗菌性シャンプー」、フケや過剰な皮脂を取りさる「角質層溶解シャンプー」、乾燥している肌に潤いを与える「保湿性シャンプー」、かゆみを抑える「止痒性シャンプー」に分けられます。それぞれに特徴があり、使用が推奨されるシャンプーは個々の症状や治療段階によって異なるため、使用に際しては飼い主が自分の判断で薬用シャンプーを選ぶと効果を感じられないこともあるので、かかりつけの動物病院で症状に合ったシャンプーを選んでもらいましょう。

シャンプーと同じくらい重要なのがドライです。生乾きのままだと、その箇所がカビの温床になりかねません。タオルで水気をふきとった後、ドライヤーでしっかり乾かしましょう。かゆみが出ている場合、温風ではかゆみが増すので、ドライヤーは冷風か低温風を選択。さらに皮膚への刺激を低減するために、送風口を体から離して使用しましょう。

皮膚病予防のためのポイント2ジメジメしがちな犬のトイレまわりに要注意

カビを寄せ付けないためには、正しい犬のシャンプー&ドライに加え、環境づくりも大切です。窓をあけて風通しをよくすることや、除湿器の使用も有効です。部屋のなかでもとくに風通しの良さを心がけたいのが犬のトイレです。犬の身のまわりでもっともカビ発生の条件を満たしやすいトイレは、カビの温床になりやすい場所。ジメジメした時季は特に、排泄後は素早く掃除をして清潔に保ちましょう。

よく遊んでいるおもちゃやクレートなど、犬のまわりのアイテムをこまめに洗ったり拭くことも重要です。その際に使用する除菌・消毒アイテムは、ノンアルコール製品など、犬が触ったり、舐めたりしても安心なものを選んでください。

衛生的な環境づくりに

*1  夏は重曹で犬の皮膚と日用品をさっぱり!

おわりに

カビは私たちの身の回りにもよくいる菌の一種ですが、体力のない子犬や病中病後の犬にはちょっと厄介な存在です。本格的にジメジメする梅雨シーズンに入る前に、人も犬も両方が快適に過ごせる環境をつくっておきたいものです。犬の皮膚トラブルは、人間と同様に、早めに処置を行うほど、そのぶん治りも早いもの。異変にすぐに気づけるよう、日頃から丁寧なグルーミングやボディチェックを欠かさないようにしましょう。