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2020.10.20

アンダーショット、オーバーショットとは?知っておきたい犬の噛み合わせの話

アンダーショット、オーバーショットとは?知っておきたい犬の噛み合わせの話

犬の健康診断の結果で「アンダーショット」や「オーバーショット」と書かれているのを見たことはないでしょうか。これは噛み合わせの状態を表す言葉で、噛み合わせについての指摘を示しています。

噛み合わせが悪いというと、人間では歯医者に通ったり、歯列矯正を行ったりと治療が必要なイメージがある人もいるのではないでしょうか。
犬の歯の噛み合わせが悪い時も人間同様に治療や特別なケアが必要なのでしょうか?
本日は、犬の噛み合わせが悪いと言われたとき、知っておきたいことをまとめてみました。

犬の歯の噛み合わせが悪いとは?

「噛み合わせが悪い」とは、色々な理由で歯が上手く噛み合わない状態を指します。
本来、歯の噛み合わせは、野生種に近い頭部をもつ犬であれば、口を閉じた状態では、上あごの前歯にあたる切歯(せっし)が下あごの切歯をわずかに覆っている状態だといわれています。この状態で、上下の歯が上手く交互に生えていれば、噛み合わせがずれることはなく、邪魔になったり隙間ができることはないといわれています。

子犬の噛み合わせが悪い場合でも、成長に伴ってあごの骨格や筋肉が発達したり、歯の生え変わりによって改善されることも多く、目立たなくなるケースが多いです。
一方で、成犬になっても噛み合わせが悪い状態が続くこともありますが、犬自身が気にしていないようであれば特別な治療や手術が必要になることもあまりありません。

噛み合わせが悪い以外に病気があるわけではないのに、思うように食事を噛み切ることが出来なかったり、口を上手く閉じることが出来ずによだれが止まらないなどの症状がある場合は、動物病院で相談してみてくださいね。

噛み合わせの種類について

犬の歯の噛み合わせが悪いときによく使われる噛み合わせに関する言い方を簡単な説明とともにをいくつかご紹介します。

■アンダーショットとは

アンダーショットは、いわゆる受け口のことです。下あごが、上あごよりも前に出てしまっていることで起こります。外見から分かりやすい噛み合わせです。
フレンチブルドッグやボストンテリアなどの短頭種ではこれがスタンダートになっています。

■オーバーショットとは

オーバーショットは、アンダーショットの逆で、上あごが下あごよりも前に出てしまっている状態です。アンダーショットほどわかりやすくはありませんが、上下の門歯がぴったりと合わず深くかみ合ってしまうので、下あごの歯が上あごを傷付けることもあります。

■クロスバイトとは

クロスバイトは、子犬の頃の歯の生え変わりが上手くいかず、二重に歯が生えてしまったり、本来歯が生える場所ではない場所に歯が生えるなど、歯列に異常が見られる状態です。
これにより、上手く歯が噛み合わず、歯列に隙間が出来て舌が出たままになることもあります。

■レベルバイトとは

レベルバイトは、上下の門歯の先端がぴったり合っている噛み合わせです。水平咬合、切端咬合とも呼ばれます。

さまざまな噛み合わせがありますが、その程度や生活への影響は犬によってさまざまです。日常生活に深刻な影響が出ていないようであれば、歯列矯正や治療などは行われません。

犬の噛み合わせが悪いことによるデメリットとは?

噛み合わせが悪いことで、犬の体調への影響を心配される方も多いようです。しかし、多くの場合は噛み合わせが悪い犬であっても、他の犬と全く変わらない生活をしています。

生まれつきのものの場合は、犬が噛み合わせのせいで食事を上手く食べることが出来なかったり、物をくわえて運ぶことが出来ないなどの不自由を感じることはほとんどないようです。

ただ、後天的に抜歯を行ったり怪我などで噛み合わせが変わった犬の場合は、慣れるまでは上手くドッグフードを食べることが出来なくなったり、ものをくわえるなどができなくなってしまうこともあるようです。犬が慣れるまで様子を見て、食事を柔らかいウェットフードに変更したり、ドライフードをふやかすなどの工夫が必要になることもあります。

DOG's TALK

犬の歯の噛み合わせは上下の歯をハサミのように使って肉を噛み切るのに適した構造をしている一方、非常に硬い物を割ったり、すり潰すことは苦手としています。
中~大型犬であれば歯も大きく、丈夫なのですが、小型犬の場合は歯が薄く小さいので、固すぎるオヤツを食べていると、歯が割れたり欠けてしまうこともあります。噛み合わせによっては、特定の歯に負担がかかってしまうことも考えられますので、非常に硬いものを与える時は注意が必要になることもあります。

噛み合わせが悪いと歯周病になりやすいの?

デンタルケアと合わせて口内の状態もチェックしていきましょう

噛み合わせが悪いからと言って、歯周病などの口内トラブルがとくに増えるという報告は今のところありません。ですが正常な噛み合わせの犬と同じように、犬の健康維持のためにデンタルケアを行っていくことは大切です。
歯ブラシで歯垢を取り除く際に、一緒に口内炎がないかどうか、口内を間違って噛んでしまった痕などが出来ていないかをチェックするのもいいですね。

デンタルケアが必要なのは、すべての犬に言えることです。
犬がいつまでも元気で楽しく健康に過ごせるように、習慣としてデンタルケアオヤツを取り入れたり、サプリメントを適度に取り入れるのもオススメです。

デンタルケアにオススメアイテム

おわりに

アンダーショットやオーバーショット、クロスバイトなどは、犬の噛み合わせの呼び方のひとつです。食べものを丸呑みしてしまう犬もいたりと噛み合わせが多少悪くても体調などに影響することはほとんどありません。犬の様子を確認し、きちんとドッグフードを食べ、おもちゃで遊んだりできるのであれば問題ありません。
ただ、噛み合わせ、歯並び、残存乳歯により歯垢が付きやすくなっていることもあります。これらは特定の犬種の外見を受け継がせるために起こってしまうことが多いのですが、今後は犬の健康を害することがない健康的な姿がスタンダートになるといいですね。


噛み合わせが悪いと言われてしまうと、健康に影響するのではないかと不安になってしまいますが、噛み合わせが悪い犬の方が歯周病のリスクが顕著に高いというデータはとくにありませんので、ほかの犬と同じように歯と歯茎のためのデンタルケアを意識して口腔内の管理に努めたいですね。