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2021.04.30

ドイツの街角から ~美味しい季節の到来をつげる、ドイツの春のマルクト~

*1 この記事を書いた人:pochinski スペインのマジョルカ島で保護され、家族になった犬と現在ドイツで暮らす旅行&ファッションライター。趣味は犬の絵を描くこと、犬の首輪や冬用のセーターを作ること、たまに犬の手作り食やケーキ作りも。犬と暮らす日常のひとコマを不定期にお届けします。

ドイツに「シュパーゲル(Spargel)」の季節がやってきました。シュパーゲルとはアスパラガスのこと。ドイツでシュパーゲルと言えばホワイトアスパラガスを指すことが一般的で、旬を迎える4月から6月にかけては、わざわざ専用のゆで鍋や盛り皿をそろえている人も少なくありません。ドイツ人のシュパーゲルに対する思いはかなり熱いのです。

 

左:マルクトにやってきたポチンスキー。今年の4月は例年になく寒く、朝の散歩にコートが必要な日もよくありました。 右:山盛りのシュパーゲル。後ろにあるシルバーの機械で皮をむいています。

シュパーゲルはスーパーマーケットでも売られていますが、地元産の新鮮なものを買うならば、マルクト(市場)が最適。
ケルン市内ではほぼ毎日のようにどこかでマルクトが開かれており、私が行きつけのマルクトだけでも3カ所あります。
野菜や果物から魚、肉、乳製品、パン、香辛料まで、大抵のものはマルクトで購入できるため、スーパーに行く必要もないほどです。

 

精肉店が気になる様子のポチンスキー。


私はポチンスキーの散歩ついでに、朝のマルクトをよく訪れます。
ポチンスキーはマルクトが大好きで、マルクトへ向かう散歩の足取りはいつも以上に軽くなります。
というのも、ポチンスキーにも“顔なじみ”店があり、姿を見かけた店員さんがニンジンや小魚のくん製などをおすそ分けしてくれるからです。

マルクトにはハーブや野菜の苗も売っています。


私にとっても、マルクトは食材を買う場所以上の存在です。店に並ぶ野菜や果物の入れ替わりによって季節を感じたり、生産者から直接おいしいレシピを教えてもらったり、焼き立てのワッフルでコーヒーブレイクしたりと、マルクトにはさまざまな楽しみが詰まっています。

 

 


さっそく、私もマルクトでシュパーゲルを買ってきました。店の自家栽培というそれは1kg12ユーロ(約1.570円)。価格は太さや時期によって多少異なり、旬の始まりはもう少し高く、最盛期はもう少し安くなります。

 

シュパーゲルとシュパーゲルスープの夕飯。

シュパーゲルの代表的なレシピは、皮をむいて塩ゆでしたシンプルなもの。バターや卵の黄身、レモン汁などで作るマヨネーズにも似たホランデーズと呼ばれるソースをかけ、ゆでたジャガイモやハムなどを添えて頂きます。シュパーゲルは、甘さの中にもほんのりとした苦みがある繊細な味わいで、ホランデーズとの相性も抜群です。

また、皮もそのまま捨てずに使います。皮をゆでたダシで作るシュパーゲルスープもドイツでは定番のレシピです。ちなみに、マルクトにはシュパーゲルの皮むき専用機械もあります。私も機械で皮をむいてもらい、持ち帰ってシュパーゲルスープを作りました。

シュパーゲルをはじめ、おいしい野菜や果物が次々と店に並ぶこれからの季節、マルクト通いがますます楽しみです。