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2021.06.02

ドイツの街角から ~ケーキと家族との時間と、あたたかなご近所さん~

ドイツの街角から ~ケーキと家族との時間と、あたたかなご近所さん~

*1 この記事を書いた人:pochinski スペインのマジョルカ島で保護され、家族になった犬と現在ドイツで暮らす旅行&ファッションライター。趣味は犬の絵を描くこと、犬の首輪や冬用のセーターを作ること、たまに犬の手作り食やケーキ作りも。犬と暮らす日常のひとコマを不定期にお届けします。

5月のある土曜日、私たち夫婦とポチンスキーは500kmもの長いドライブをしてきました。夫の祖父母を訪ねるためです。2人が新型コロナのワクチン接種を終えたため、久々に会いに行くことにしたのです。

道中の風景。ドイツでは地域によって、田園の中にいくつもの発電用風車が建っています。風車の手前の黄色い部分は菜の花畑。この日は、あちこちで満開の菜の花畑を見かけました。

道中の風景。ドイツでは地域によって、田園の中にいくつもの発電用風車が建っています。風車の手前の黄色い部分は菜の花畑。この日は、あちこちで満開の菜の花畑を見かけました。

ドイツ西南の小さな町に暮らす祖父母の元へのドライブは片道3時間以上かかる長旅です。
そのため、以前は訪問時に必ず一泊はしていましたが、今回は念のために短時間の滞在に留めることに。
当日、私たちは家の近くにある新型コロナ検査会場で簡易検査を受け、陰性であることを確認してからの出発となりました。

デパートの入り口に開設された新型コロナの検査会場。ケルンでは休業中のカフェや劇場など、いろいろな店や施設が検査会場へと一時的に転身しています。

デパートの入り口に開設された新型コロナの検査会場。ケルンでは休業中のカフェや劇場など、いろいろな店や施設が検査会場へと一時的に転身しています。

ちなみに、ケルンでは5月末時点で、レストランやカフェ、美容院など、さまざまな店に入るためには陰性証明の提示が必要です。
このため、街の至るところに検査会場があり、住民は無料の簡易検査や有料のPCR検査を手軽に受けることができます。

後部座席で半眠りのポチンスキー。長いドライブには慣れており、大抵はおとなしく眠っています。

後部座席で半眠りのポチンスキー。長いドライブには慣れており、大抵はおとなしく眠っています。

では、話を元に戻しましょう。
今回ポチンスキーと私たちが会いに行った93歳の祖父と92歳の祖母は、間もなく結婚70年、プラチナ婚を迎える長寿カップルです。
幼なじみで、戦中戦後の苦難や喜びをともにしてきただけあって、とても仲の良い2人。
久々に再会した祖父母は思いのほか元気で、私たちとポチンスキーとの再会を喜んでくれました。
ポチンスキーは祖父母のお気に入りのようで、いつも「ポチ」と呼んで可愛がってくれます。


さて、祖父母を訪ねる際、私が密かに楽しみにしていることがあります。お茶の時間に頂く祖母の手作りケーキです。
ドイツでは週末の家族の集まりや誕生会など、ケーキを必要とする機会が多いこともあってか、ケーキづくりが得意な人がとても多いのです。
祖母もプロ並みの腕前で、いくつものレシピが頭の中に入っているそうです。

いつもならばケーキ作りが得意な祖母が私たちのために2,3種類のケーキを用意してくれています。
ところが、近ごろ足腰が弱った祖母に代わり、この日はなんと、ありがたいことにご近所さんが旬のイチゴを使ったケーキを作って届けてくれていました。

 

ポチンスキーにとっては、広い庭を自由に走り回れることも祖父母を訪ねる時の楽しみのようです。

ポチンスキーにとっては、広い庭を自由に走り回れることも祖父母を訪ねる時の楽しみのようです。

祖父母の周囲では今どき珍しいくらいにあたたかな近所同士の助け合いが根付いています。
例えば、自宅から40kmほど離れたワクチン接種会場へと祖父母を送迎してくれたのも、ケーキとは別のご近所さんです。

ドイツでは、夏には成人の大半がワクチン接種を受けられる見通しです。
そうなれば、秋には祖父母のプラチナ婚のお祝いを家族やご近所さん、もちろんポチンスキーも一緒にできるかもしれません。
ぜひ、みんなで祝福したいなと思うばかりです。