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2021.07.07

古代の犬はどうやってオメガ3脂肪酸を取り入れていたの?犬の歴史と栄養素

古代の犬はどうやってオメガ3脂肪酸を取り入れていたの?犬の歴史と栄養素

日々の食事は健康的な体を維持するために大切です。犬の健康維持のためにもさまざまな栄養に関心を持ち、取り入れようとする方は多いと思います。

犬の関節や皮膚・血流が気になる、という方に人気が高い栄養のひとつがオメガ3脂肪酸です。このオメガ3脂肪酸を古代の犬がどのように摂取してきたのかについて、面白い研究を見つけました。

世界中で人々と一緒に暮らすようになるまで、犬の祖先や仲間が食べてきたものの歴史をご紹介します。

犬にとって大切なオメガ3脂肪酸とは?

まず、犬にとってオメガ3脂肪酸は必須の栄養素なのでしょうか?
AAFCOの栄養基準を参照すると、成長期の犬にとっては必須の栄養素となっていますが、維持期(成犬・シニア犬)では必須栄養素に含まれていません。
成長期の犬にとっては、オメガ3脂肪酸のなかでもDHAと呼ばれる成分が神経系などの成長に非常に重要で、オメガ3脂肪酸が不足した食事で育った子犬は、落ち着きや認知機能に影響が出る可能性が指摘されています。

それなら、成犬にはオメガ3脂肪酸は不要なの?と疑問に思う人がいるかもしれませんが、そんなことはありません。
オメガ3脂肪酸は、皮膚や被毛、関節の健康を維持するほか、循環器系の健康維持にも深く関係することが分かっています。

必須栄養素は、生命維持に必要となる最低限の栄養のことを指します。(不足すると健康に影響、命にかかわります)
一方、オメガ3が欠乏したからと言ってすぐに生命維持には影響しないと考えられているため、成犬においてオメガ3脂肪酸は必須栄養素に含まれていないようです。
ただ、最近のプレミアムドッグフードの傾向としては、オメガ3脂肪酸を意識していないフードはほとんど見られません。

ドッグフードのオメガ3脂肪酸供給源

今、ドッグフードではオメガ3脂肪酸を取り入れたドッグフードが多く登場しています。犬の健康維持に役立てるため、オメガ3脂肪酸を含む原材料を使用することで、意識的に取り入れているのです。
これらのドッグフードでは、オメガ3脂肪酸の供給源として主に魚が使用されることが多いです。主な原材料として魚が使用されるほか、サーモンオイルなどの魚油やフラックスシードオイルなど一部の植物性オイルを使用することでオメガ3脂肪酸を取り入れているものがあります。

現代の犬たちはドッグフードに使用される魚や魚油、一部の植物油からオメガ3脂肪酸を取り入れていますが、ドッグフードを食べるようになるずっと前、野生で暮らしていたころにはどのようにオメガ3脂肪酸を取り入れていたのでしょうか?

古代の犬はオメガ3脂肪酸を摂取できたのか?

人間と出会う前、野生で暮らしていた犬たちはオメガ3脂肪酸を食事から取り入れることができていたのでしょうか?
古代の犬たちの遺伝子や現在でも野生で生きている犬の仲間の調査が進むにつれ、犬たちがオメガ3脂肪酸を食事から摂取していたこと、そして食事にオメガ3脂肪酸を取り入れるためにやっていたことが分かりました。

■野生の犬の仲間は魚を食べている!

野生のオオカミたちに、発信機や超小型カメラをつけたことで進められた調査では、オオカミが海や川に魚を捕まえに行く行動が見られることが分かっています。
海の浅瀬や流れが遅い川に入っていって川を遡るサーモンを捕まえ、食べている様子が記録されていました。
このことから、野生で暮らしていた犬たちも同じように魚を食べる習性があった可能性があると考えられています。
現在のドッグフードと近い方法でオメガ3脂肪酸を摂取していたといえるかもしれません。

■虫、小型動物をまるごと食べることでオメガ3脂肪酸を摂取していた!?

魚がとれる浅い海岸や川がある地域であれば、魚からオメガ3脂肪酸を摂取することができますが、サーモンのような魚がいない季節や、海や川がない地域では犬の仲間はオメガ3脂肪酸を取り入れることができなかったのでしょうか?

これらの時期や地域では、犬の仲間は小動物を丸ごと食べていたことでオメガ3脂肪酸を取り入れていたと考えられています。
魚がとれない状況でも、動物からオメガ3脂肪酸を取り入れる方法があります。動物の体のなかでもオメガ3脂肪酸を特に多く含む、目、脳、神経系などの部位を食べることです。

犬の仲間は小さなネズミの仲間や鳥の雛などを丸ごとこれらの部位を含んで食べることで、オメガ3脂肪酸を取り入れていた可能性が指摘されています。
また、虫の仲間にもオメガ3脂肪酸が含まれています。これらの虫を食べることで、オメガ3脂肪酸の供給源としていたともいわれています。

自分よりもずっと体が小さな虫や動物を捕まえて食べることは、一見エネルギー補給と体力の消耗の観点からみると効率的ではありませんが、古代の犬や野生で暮らす犬の仲間にとってはオメガ3脂肪酸の供給源として非常に大切な栄養の一部だったのではと考えられているのです。

■ 昆虫を原材料として使用するドッグフードが注目される理由

最近、世界的に昆虫を主なタンパク源として使用するドッグフードの開発が進められています。開発の背景には、牛やチキンなどを飼育する際の大きな環境への負荷を軽減し、持続可能なタンパク源を実現するためというほかに、昆虫が魚に変わるオメガ3脂肪酸の供給源としても注目されていることがあるのです。
ドッグフードにも使用されるタンパク源のひとつ、コオロギの場合はオメガ3脂肪酸が100gあたり650mg含まれています(コオロギパウダーの場合)。このオメガ3脂肪酸の数字はサーモン(1000mg/100g)には劣りますが、非常に優秀なオメガ3供給源と言えます。

おわりに

今回は、犬の健康維持に役立つ成分、オメガ3脂肪酸を古代の犬たちがどのように取り入れているかについてご紹介しました。
現在では主に魚や魚油がオメガ3脂肪酸を取り入れるためにドッグフードに使用されていますが、もともと犬の仲間は魚以外の方法でオメガ3脂肪酸を取り入れていたことが分かってきました。
持続可能な原材料を使用したドッグフードの新しい形として、昆虫を主原料として使用したフードの開発が進められていますが、オメガ3脂肪酸供給源として昆虫を食べていたことを考えると、自然な形のひとつといえるのかもしれません。