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2023.12.04

ドッグフードの素朴な疑問。ウェットフードはなぜ常温保存できるの?

ドッグフードの素朴な疑問。ウェットフードはなぜ常温保存できるの?

犬の毎日の食事となるドッグフード。ドッグフードとひとことで言っても形状や与え方などによって種類は様々に分類されます。
今回取り上げるのは、缶詰やレトルトパウチに入った「ウェットフード」についてです。

ウェットフードと言えば、水分量が多く香りも強いものが多いですよね。一般に嗜好性もドライフードと比較して高い傾向にあるようです。
さらに、未開封であれば常温保存も可能で、保存期間も比較的長いものが多く、保管も容易ですよね。

でも、皆さま疑問に思ったことはありませんか?「なぜウェットフードは常温保存しても悪くならないの?」って。
今回はそんな素朴な疑問についてお答えいたします。

Q:ウェットフードはなぜ常温保存できるの?

なぜウェットフードは常温保存しても大丈夫なのでしょうか?
その答えは、完全に滅菌されているからです。

 

■食べ物が痛む仕組み

食べ物が「悪くなる」「傷む」のは、空気や光に触れることで成分が酸素と結合して変質する『酸化』と、食品に含まれる水分と糖やタンパク質などを使って微生物が繁殖することで進む『腐敗』によって起こります。
通常、食べ物を常温で保存すると、食べ物の酸化と腐敗が一緒に進行していきます。これらを防ぐために、密閉容器に入れて空気に触れないようにしたり、冷蔵庫に入れて微生物の活性を抑えたりする必要があるのです。

 

■ウェットフードの容器では酸化も微生物の繁殖も起こりにくい

改めてドッグフードのウェットフードが入っている容器をチェックしてみると、缶詰かレトルトパウチに入っているものがほとんどだと思います。
これらの容器は製造工程的に、酸素も微生物も入らないようになっています。また、光を通さない加工もされているため、酸素や光の影響による酸化も、腐敗も起こりにくくなっています。

缶詰とレトルトパウチの製造工程

それでは、缶詰とレトルトパウチの製造工程をチェックしてみましょう。

缶詰とレトルトパウチ、いずれも「空気を抜き、密封する」「加熱殺菌」という工程が含まれているので、そのまま常温で保存しても酸化も腐敗も進みにくいと考えられています。

1・原材料の搬入
原材料を工場に搬入します。

2・材料の前処理
生の原料に付着している汚れや異物を洗い落すために洗浄するほか、使用する部分だけを選別します。これらの作業はほとんど機械化され、スピーディに処理されます。

3・金属探知など異物検査
缶詰やレトルトパウチに注入する前に、再度品質チェックを行います。異物等の検査も行います。

4・充填・脱気・密封(巻締・シール)
原料は、決められた内容量の基準にしたがって、計量してから缶やパウチに充填されます。

密封する前に、中の空気を取り除きます。
これには、以下の理由があります。

①加熱殺菌中に容器内の空気の膨張により缶が変形したりパウチや缶が破裂するのを防ぐため
②缶詰貯蔵中の缶内面の腐食を防ぐため
③酸化による内容物の色、香り、味、栄養素の変化を防ぐため

しっかりと脱気を行ってから、ウェットフードは密封されます。

 

5殺菌・冷却
ウェットフードの製造でもっとも重要な工程が、この殺菌・冷却の工程です。
密封された缶詰、レトルトなどは、殺菌機によって圧力窯で加熱殺菌(レトルト殺菌)されます。これは細菌など微生物を加熱によって死滅させて腐敗を防ぎ、長く貯蔵できるようにするためで、中身の種類によって加熱温度と時間を変えて行います。
魚、肉、レトルト食品などの場合は100℃以上の温度で時間をかけて殺菌することが必要です(加圧加熱殺菌=レトルト殺菌)。殺菌が終わると、品質の変化を防ぐため、ただちに水で冷却します。

 

6検査・包装

出来上がったウェットフードは、真空度の低いもの、詰め過ぎや軽量のもの、凹んだものなどの不良缶を選びだして取り除かれます。
この検査は昔は打検棒で軽くたたいてその時の音で判断していましたが、現在では自動機械で検査します。
レトルト食品については、金属探知機などを通過させて検査します。

■ 未開封のウェットフードが傷んでしまっていた場合は…

製造工程のどこかでトラブルが起き、小さな隙間や穴が開いてしまった可能性があります。このような事態が起こらないよう、一定期間保管し異常が発生しないことを確認しています。

犬の健康と安全のために

ウェットフードが常温保存で問題ないのは、あくまで未開封の状態の時です。一度開封してしまったら、そこから酸化や腐敗が進んでいきます。なるべく早く使い切ることが推奨されています。
どうしても使い切れない、というウェットフードは小分けにして冷凍すると保存期間を延ばすことができます。(※参照:困ったときはウェットフードを冷凍保存。メリットと使い方のススメ)

 

おわりに

今回はドッグフードの中でも、水分量が多いウェットフードの製造工程と腐らない理由についてご紹介しました。
普段何気なく便利に使っているウェットフードの缶詰やレトルトパウチですが、製造にはさまざまな技術が用いられて安全性が保たれています。生の食材と比べ、栄養成分が損なわれることは否めませんが、菌や腐敗への不安は少なくなります。また、できる限り調理したてのような仕上がりを目指し、日々技術も進歩しています。