- コラム
- 海外情報
2026.07.06
保護犬から空港の探知犬へ。NZで生まれた奇跡のキャリアとは~南半球のDog's letter~
関連記事
*1 保護犬から華麗に転身!NZの麻薬探知犬サービスとは?~南半球のDog's letter~
*2 働く犬のセカンドステージをバックアップ!引退したワーキングドッグが家庭犬になるまで~南半球のDog's letter~
世界の様々な地域に順応して暮らしている犬たち。
ところ変われば犬とのライフスタイルも変わります。日本とはちょっと違う?!共通してるかも?!と思える目新しいドッグライフ情報。今回は、保護犬から探知犬への転身を遂げた犬についてご紹介します。


-
この記事を書いた人:グルービー美子
ニュージーランド・オークランド在住のトラベルライター。JAL機内誌やガイドブック「地球の歩き方」などに寄稿。子供の頃から柴犬と暮らし、現在はサビ猫のお世話係。趣味はサーフィン。
ニュージーランドを守る“鼻のプロ”たち
探知犬に多いビーグル
農業大国であり、独自の生態系を持つニュージーランドは、動植物の検疫が厳しいことで知られています。国際空港や国際港では、政府機関の第一産業省(MPI)に所属する検疫犬が大活躍。バイオセキュリティ上のリスクとなり得る物品を見つけるため、手荷物、貨物、郵便物などをくまなくチェックします。
ニュージーランドの探知犬といえば、鼻が利いて混雑時でも小回りが得意なビーグルまたは人懐こくて遊びや食べ物への意欲が高いラブラドール・レトリバーが主流ですが、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターなど、ほかの犬種が選ばれることもあります。
今回は、ニュージーランド南島の玄関口・クライストチャーチ国際空港で探知犬として働くジャーマン・ショートヘアード・ポインターの男の子、ノアにフォーカス。保護犬から探知犬へ華々しい転身を遂げた彼のストーリーをご紹介します。
迷子犬として保護されたノア
ノアとハンドラーのティアナさん
ノアは2025年9月、クライストチャーチの路上でさまよっているところを発見され、「迷子犬」として市のドッグシェルターに保護されました。当時は推定6~7カ月の子犬で、ニュージーランドでは義務付けられているマイクロチップを装着していなかったといいます。
「シェルターに来た時、ノアは健康上の問題もなく、ケージの中を元気に動き回っていました。基本的なしつけはされているようで、とてもやさしい子でした」
そう振り返るのは、市のアニマルサービス部門のマネージャーであるライオネル・ブリッジャーさん。マイクロチップが埋め込まれていなかったため飼い主が特定できず、迷子犬としての問い合わせもなかったことから、ノアは里親募集の対象となりました。
保護犬が開く新しい犬生
里親を募集するため、市はFacebookページにノアの写真と情報を掲載しました。ここからノアの運命が大きく動き始めます。その投稿を見たクライストチャーチ国際空港の探知犬ハンドラー、クリステンさんが「ノアをぜひ探知犬に」と連絡をくれたのです。
ノアが働くクライストチャーチ国際空港。11月下旬〜3月末頃までは成田からも直行便が週3便運航されます。
ジャーマン・ショートヘアード・ポインターが探知犬として実績を上げてきたことを知っていたクリステンさんは、ノアにも適性評価テストを受けてほしいと希望。ノアは見事にテストをパスし、本格的な訓練を受けるためにオークランドへ向かいました。そして6カ月間の集中トレーニングを終え、クライストチャーチに戻って現場デビューを果たしたのです。
現在、ノアは植物・野菜・種子・花など70種類以上のにおいをかぎ分ける探知犬として、ハンドラーのティアナさんとともにクライストチャーチ国際空港で働いています。ライオネルさんは、彼の活躍をシェルターの職員一同が誇りに思っていると話します。
「保護犬の中でも純血種はとても人気があり、ノアを掲載した時も非常にたくさんの里親希望者が現れました。でも、今彼が新しい仕事で充実した毎日を送っているのを見て、この道が見つかって本当によかったと感じています」
クライストチャーチ市のドッグシェルターは年間2000頭もの犬を保護していますが、すべての犬に新しい家が見つかるわけではありません。そんな中でノアが掴んだキャリアは、保護犬の可能性と未来の選択肢を示してくれているのです。
取材・写真協力:Christchurch City Council
*1 https://www.newsline.ccc.govt.nz/news/story/from-pound-pup-to-detector-dog


