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2019.12.23

犬の筋力維持に役立つBCAAアミノ酸とは?バリン・イソロイシン、神経系の健康に役立つフェニルアラニン

栄養素のなかには、犬たちが体内で合成することができず食事など、外から摂取することが必要な「必須栄養素」と呼ばれるものがあります。その中のひとつが、肉や魚、大豆などのタンパク質を構成している犬の必須アミノ酸と呼ばれるグループ。これらのアミノ酸は、犬たち自身が体の中で合成することができないため、食事から必ず摂取する必要があるもののことを指します。

今回はそんな犬の必須アミノ酸の中から、犬たちの筋力維持に関係するバリン、イソロイシンと神経系にかかわるフェニルアラニンについてご紹介します。

バリン・イソロイシンってどんなアミノ酸?

アミノ酸は基本的に種類ごとにそれぞれ異なった働きをしていますが、バリンとイソロイシンはどちらもBCAAと呼ばれるアミノ酸のグループに含まれています。BCAAとは、「branched chain amino acid(分岐鎖アミノ酸)」のことで、バリン・イソロイシン・ロイシンがこれに含まれます。食べ物に含まれているタンパク質の構成の中で、最も比率が高いのがこのBCAAのグループです。
犬たちにアミノ酸スコアの高い食事を選んで食べさせると、必然的にこのバリンやイソロイシンを十分に摂取することができるということです。

このBCAAであるバリン、イソロイシンには筋肉のエネルギー代謝に深くかかわるアミノ酸であることがわかっています。
筋肉を使うためにはこれらのBCAAを適切な量摂取して、筋肉がエネルギーを使うことができるようにすることがポイントになります。また、食べ物から摂取したタンパク質やアミノ酸を、筋肉細胞として再合成する際にもBCAAのアミノ酸は必須です。
犬たちにとっては、筋力を維持し、その筋力を使える状態にするために必要な栄養素といえますね。特に成長に伴ってしっかりと筋力をつける必要がある成長期のパピーや、加齢に伴って筋力が低下していくシニア犬は、アミノ酸スコアの優れた食事を意識して摂取することが大切、といわれるのはこのためでもあるのです。

フェニルアラニンってどんなアミノ酸?

最後の犬の必須アミノ酸は、フェニルアラニンです。フェニルアラニンは動物性タンパク質に多く含まれているアミノ酸の一種で、神経系の伝達物質を作るために使われています。
フェニルアラニンは体内に取り込まれた後、ドーパミンやノルアドレナリン、アドレナリンといった私たちもよく知っている脳内伝達物質へと再合成されます。
犬たちにとっても、感情をコントロールしたり落ち着いた暮らしを送るために必要な必須アミノ酸のひとつです。

フェニルアラニンも犬たちが総合栄養食タイプのドッグフードを食べている限りは不足することはありませんが、認知機能が低下していくハイシニア犬などでは、アミノ酸スコアが優れた食事を意識的に与えることで神経系のバランスが整い、落ち着きを取り戻したりするかもしれません。

おわりに

これまでポチでは犬たちに必須のアミノ酸10種類についてご紹介してきました。アミノ酸というと少し難しそうな気がしてしまいますが、それぞれが犬たちの体の中で大切な働きをしていて、それぞれをバランスよく摂取しなくては十分に働くことができません。
基本的には総合栄養食では必須アミノ酸のバランスが極端に崩れることはありませんが、加齢による認知機能・筋力の衰えが見えてきたときや、病気の療養中で体力を改めてつけたいとき、成長期のパピーの食事を選ぶときなどには、アミノ酸スコアがより高い食事を意識するのがいいかもしれませんね。