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2021.01.25

犬に卵を与えるなら。アレルギー、栄養、調理法ポイントはコレ!

犬に卵を与えるなら。アレルギー、栄養、調理法ポイントはコレ!

スーパーなどで手に入る卵は、毎日の料理やお菓子にも活用される食材で、私たちにもなじみ深い存在ですよね。栄養の面でも頼りになる卵ですが、「食べさせるメリットはあるの?」「犬も卵アレルギーになってしまうんじゃないの?」など、気になるという方もいるのではないでしょうか。
栄養豊富な卵ですが、犬に食べさせる時に意識したい栄養のこと、そして注意点をまとめてみました。

犬に卵を食べさせて大丈夫?


結論としては、犬にとって卵を食べさせることは問題ありません。ドッグフードや犬のオヤツの原材料としても非常にメジャーな存在で、犬の中にも卵が大好物だという子も少なくありません。

犬の仲間である野生動物のジャッカルやコヨーテ、キツネなどは野鳥などの肉だけではなく、卵も食べています。

卵は犬にとって効率的な栄養源

卵は、とても高栄養の食材として知られていますが、具体的に犬にはどんな栄養が含まれているのでしょうか?

 

■アミノ酸が豊富!

卵はアミノ酸が非常にバランスよく含まれている食材でアミノ酸バランスを表す指標であるアミノ酸スコアは100(最高値)。
つまり、必須アミノ酸すべてをバランスよく含んでいる食材のひとつが卵ということです。
しかし、これは「卵を食べさせていれば、犬に必要なアミノ酸を十分に補える」…、ということではありません。アミノ酸スコアは必須アミノ酸のバランスの良さを評価した数値であり、同じ量を食べさせるのであれば、アミノ酸スコアが高い食材であるほど効率よくアミノ酸が摂取できるということです。

■注目したいアミノ酸以外の栄養素、認知機能に関係するレシチン

卵の卵黄の部分に含まれるレシチンという物質は、リン脂質と呼ばれる成分の一種です。リン脂質は細胞一つ一つを区切る細胞膜の主成分で、細胞を健康的に保護するのに必須です。

犬も高齢化すると徐々に認知機能が衰えていきますが、レシチンは脳神経系の伝達物質の材料として必須の成分でもあり、神経伝達物質が十分でないと記憶や認知機能に影響することが分かっています。
また、レシチンは脳も成長期のパピーたちにもトレーニング中の犬の集中力を維持する働きも期待できるそうですので、「最近集中してトレーニングができない…」と感じた時にはドッグフードに卵をトッピングしてみるのもいいかもしれません。
もしもレシチンを食材でプラスしたいと思った場合、肉類と比較しても断トツで卵黄に多く含みます。

 

■その他ミネラル類、ビタミン類も豊富

卵には鉄分や亜鉛、銅などのミネラル類やビタミンA、ビタミンD、ビタミンEなどのビタミン類も含まれていて、1つの食材でありながらさまざまな栄養が高い水準で摂取できる「栄養完全食」なんて呼ばれ方もしています。

とはいえ、卵だけを食べていれば健康になれるということはありませんし、リンの含有量が高いということを念頭に、さまざまな食事と組み合わせながら与えるのがオススメです。

ちなみに:いくらなどの魚卵は犬も食べられるの?

鶏の卵だけではなく、魚卵も犬は食べることができます。ただし、しょうゆ漬けや塩漬けになっているものが多いので、そういった加工がされていないものか、きちんと塩抜きをしているものがおすすめです。
魚卵には必須脂肪酸であるオメガ3などが豊富に含まれているほか、タンパク質やビタミン類が含まれています。
とくにいくらには、サーモンが持つ抗酸化成分、アスタキサンチンがギュッと凝縮されていて、細胞の老化などが気になる犬には嬉しい成分です。そうはいっても体に良い栄養が含まれているからと言って食べ過ぎは禁物。栄養バランスが崩れてしまうので、ご褒美に数粒食べさせるくらいにしておく方がよさそうです。

こんな犬に卵を食べさせるのがオススメ

・小食の犬や子犬、病気の治療中の犬の栄養補給として
・手作り食を与えている犬のタンパク源として
・痩せ気味の犬のエネルギー補給に
・シニア犬の筋力維持を意識したい時に
・認知機能を維持したいシニア犬

■ 全卵、卵黄、卵白の栄養バランス

卵には白身、黄身があります。両方を使用すると全卵と呼ばれます。卵にはアミノ酸が豊富に含まれているということをご紹介しましたが、どの部分にどれくらいの栄養が含まれているのでしょうか?

【卵のそれぞれの部位の分析値】
全卵 水76.1%、タンパク12.3%、脂質10.3%
卵黄 水48.2%、タンパク16.5%、脂質33.5%
卵白 水88.4%、タンパク10.5%、脂質0%

黄身にはタンパク質の2倍も脂質がふくまれています。ダイエットが必要であればほぼタンパク質のみの白身を使うことが良いようです。
しかし、生の卵白にはアビジンという成分が含まれていて、生の卵白を大量に摂取するとビオチンと呼ばれるビタミンB群の吸収を阻害してしまう可能性があります。加熱することでアビジンは壊すことが出来るので、ダイエット時などゆで卵にして卵白だけを利用してもいいですね。
ちなみに、卵黄には豊富なビオチンが含まれていますので、生のままであっても卵黄と卵白両方を一度に全卵の形で与えればアビジンの影響は出にくいです。

DOG's TALK

スタッフ犬には、軟便が続いたり食欲が落ちた時には、全卵と白米を混ぜた「たまごがけごはん」を食べさせるそうです。とてもシンプルな食事ですが、しっかりと必要な栄養を摂取させることができ、オススメです。もちろん続けて食べさせると栄養バランスが崩れたり、白米が合う合わないなどの個体差もあります。

犬も卵アレルギーになる可能性がある?

卵は人間の食事では重篤なアレルゲンとなることが知られていますが、犬でも卵アレルギーになることはあるのでしょうか?
結論としては、犬にも卵アレルギーは存在しますが、卵アレルギーのリスクはほかの食材と同じで、特別注意するべき食材ではありません。

食物アレルギーは特定の食品を繰り返し摂取することで、徐々に起こるリスクが高くなっていきます。卵だけを子犬の頃から繰り返し食べさせていると、やはり卵アレルギーのリスクは高くなります。でも、それはどの食材でも同じこと。
バランスの良い食事を意識したり、様々な食品を食べさせることはアレルギー対策としてだけではなく、栄養管理の面でも重要です。

犬の食物アレルギーの場合、人間のような命にかかわるようなアレルギー症状が見られることはほとんどなく、アレルギー症状として見られるのは主に皮膚のかゆみや脱毛、下痢といったものです。

おわりに

犬に卵を食べさせるのなら、念のため加熱してから食べさせることがおすすめです。使い勝手もいいですし、生の卵白に含まれるアビジンの影響や鶏卵に時折含まれるサルモネラ菌などの食中毒につながる菌による体調への影響を予防するためです。
それから、腎臓に不安がある犬やシニア犬の場合、卵はリンが豊富に含まれているということは留意しておきましょう。

冷蔵庫にある食品の中で、犬の手作り食やトッピングとして一番といっていいほど使いやすいのが卵だと思います。味なしスクランブルエッグなど簡単卵料理でトッピングのチャレンジもいいですね。