• コラム
  • スタッフコラム

2019.10.10

糖尿病かも?と思ったときに確認しておきたいこと~犬の病気のイントロダクションcase#05 ~

糖尿病かも?と思ったときに確認しておきたいこと~犬の病気のイントロダクションcase#05 ~

この記事の監修:Dr.マイについて

*1 庄野 舞 しょうの まい)獣医師 東京大学 農学部獣医学科卒業。 東京大学付属動物医療センターにて、血液腫瘍科、神経内分泌科、消化器内科で従事。 たくさんのペットの生死を見てきて、共に戦った飼い主さんが最終的に願うのは「食べさせてあげたい」という思いであることに気づく。 現在は、病気予防のふだんの食事のこと~漢方、植物療法の世界の探求に励む。はじめの一歩に漢方茶マイスターを取得。 得意分野は、犬猫の血液腫瘍と回虫。

"犬の病気のイントロダクション"は「犬の様子がいつもとちょっと違う、もしかして…」と不安に思った飼い主が、動物病院で獣医師に相談するときに知っておくと「ウチの子」のことをより正確に伝えられる、そんな知識を書きとめたノートです。

みんなは、どんな時に"糖尿病かも?"と早めに気が付くの?

典型的な犬の糖尿病は、膵臓に存在している細胞がなんらかの理由によって変性を起こすことで、インスリンというホルモンが十分な量作られていないことで起きるケースが多いようです。この膵臓の異常は、後天的なものというよりも先天的・遺伝的な理由で起きるもので、人間の糖尿病とは異なり、生活習慣はあまり発症に影響しないようです。
そのため、犬たちの糖尿病は、私たち人間と同じような対策をすることが予防に必ずしも繋がらないということがいえます。
糖尿病の犬たちの場合は、食事によって血中の血糖が増加しても、糖をエネルギーに変えるのに必要なインスリンの分泌が十分ではないために、食べてもエネルギーを作り出すことができず、血液中の糖だけが増えすぎてしまう高血糖状態が続きます。
やがて、糖の代わりに脂肪を分解することでエネルギーを作り出し、この際に副産物として出るケトン体が血液中に増加するようになっていきます。そのため、糖尿病を疑われた犬の尿検査を行う際、ケトン体が見られることもあるようです。


特徴的な症状としては、異常なほどに水を飲み、おしっこの量が大幅に増えるほか、おもらしなどの症状によって飼い主が気が付き、検査をしたことで病気が発覚することが多いようです。異常な飲水量の目安は、24時間で体重1kg当たり水100cc以上の量(5kgの犬で500cc)と言われています。
また、異常な食欲と体重が急激に減るほか、お腹がぽっこりと膨れてしまうなどの症状が出ることもあります。
糖尿病の症状が進行し、代謝系に異常が発生するとこん睡状態になることもあるので、その前のサインに気が付くことが重要です。

基本的にどの犬種でも糖尿病になる可能性はありますが、特にミニチュア・ダックスフンド、ミニチュア・シュナウザー、トイ・プードル、ゴールデン・レトリーバーなどの犬種はかかりやすいといわれています。

獣医師さんに"糖尿病かも"と伝えるために。

「あれ?」と思って動物病院に行っても、獣医師さんに上手く症状を伝えることができず、思ったようなアドバイスがもらえなかったりすることもありますよね。もちろん、動物病院に行くこと自体がストレスにもなる犬もいますし、短期間に何度も病院に行くことは色々な意味で負担がかかってしまいます。
そこで、一度の診断で的確に「気になっていること」を獣医師さんに伝えるためにチェックしておくと良いポイントをいくつかご紹介します。

 

1st point排泄物のチェックをしてみる

大量の水を飲むようになることで、オシッコの回数や量が増えるほか、いつものトイレでオシッコができない、我慢ができないなどの症状が出ます。糖尿病の犬たちのオシッコはニオイがきつくなるという傾向があります。これはオシッコにたくさんの糖が含まれることで起きる現象です。また、既に糖尿病と診断されている犬においては、下痢・嘔吐などの症状が出ると症状の急激な進行が疑われますので、すぐに動物病院に診てもらうようにしてください。

 

2nd point白内障の症状が急に進んでいないか、瞳の状態をチェックする

シニア犬に多い眼のトラブル、白内障ですが、糖尿病の合併症としての白内障が発生することもあります犬たちに糖尿病の疑いがある時、白内障の症状が進み視覚的な異常が発生することもあります。糖尿病によって引き起こされる白内障は代謝性白内障と呼ばれ、糖尿病の治療によって白内障の症状の進行も食い止められることもあります。その他にも糖尿病は網膜症などの眼に異常を引き起こすケースがあるので、視覚の異常がないかをチェックすることもポイントになるかもしれません。

DOG's TALK

Dr.マイ

Dr.マイ

犬の糖尿病は比較的よく見る疾患の1つです。インスリンがそもそも分泌されない糖尿病をⅠ型糖尿病、インスリンは分泌されているが反応しないものをⅡ型糖尿病と分類しており、犬ではⅠ型が、人ではⅡ型が圧倒的に多いとされています。ちなみに猫は人と同じく、Ⅱ型糖尿病が多いんです。
治療は、どちらの型の場合もインスリン投与が基本になります。丁寧な治療法としては、入院下にてインスリン注射と血糖値の確認を定期的に行い、血糖値が安定したところで自宅での投与に切り替えるというものです。

この糖尿病、血糖値が高い状態が続いてしまったり、逆に低くなってしまったり、コントロールがうまくいかないと、ケトアシドーシスという状態になりやすくなってしまい、命に関わることもあります。そのため早期発見と、その後の適切なインスリン投与がとても大事。
うちの子太っていないから糖尿病はないと思っていた、とよく伺うのですが、人と違って、肥満との関連性は示唆されていませんので、要注意の疾患です!

■ "糖尿病かも?"を獣医師に伝えるためのポイント

・オシッコの回数や粗相などが増えていないか、尿のニオイに変化があれば伝える
・白内障や網膜症など、眼に影響が出るケースがあるので視覚に異常が出ている様子があれば伝える
・体重・食欲の急激な減退やお腹がぽっこりと膨れるなどの症状があれば伝える